バッテリーの組み立て・再生工場も併設されたゲント工場
ABボルボ( Aktiebolaget Volvo/スウェーデン・ヨーテボリ )傘下のボルボ・トラックスは9月14日( 瑞・現地時間 )、世界規模で電動トラックの総生産量を増加させるべく、ベルギー北西部に拠点を構えるゲント(Ghent)工場で大型EVトラックの本格量産に入った。( 坂上 賢治 )
ボルボ・トラックスによる大型EVトラックの世界生産で、欧州地域内はフランス並びにスウェーデンの2工場で。更に大西洋を隔てた米国内の1工場でも稼働させていることから、今回、大型EVトラックの生産を始動させるゲント工場は、先の3拠点に次ぐ4番目の布陣となる。
ちなみに同社で大型EVトラック生産の皮切り役を担ったのは、フランスのブランビル工場で、2019年からゴミ処理施設や市内物流用の大型EVトラックの製造を開始した。
その1年後に稼働したのは、米国東部の東部のバージニア州・ニューリバーバレー工場で、同地域の輸送用に設計されたVNRエレクトリック・トラックの量産が開始。
昨年にはスウェーデンのトゥーベ工場で、最重量レンジのEVトラックの量産を始動。結果、ボルボ・トラックスは、これまでに6大陸42カ国で大型EVトラック約6,000台の生産並びに受注を得た格好だ。
なおゲント工場は、年間約45,000台の車両生産能力を備えた同社最大級の生産拠点であるため、ボルボ FH、ボルボ FM、ボルボ FMX エレクトリックの3モデルが製造される。しかも、これらは総重量44トン級であるので、対象産業を問わない幅広い輸送ニーズに対応できる。
生産形態も、様々な車種バリエーションに応えられる柔軟性を備えているので、ディーゼル車やガソリン車と同一プラットフォーム上のライン混載で組み立てられる。
ゲント工場では、ボルボ FH、ボルボ FM、ボルボ FMX エレクトリックの3モデルが製造される
EV車には不可欠なバッテリーパックも、ゲントの場合、生産ラインのすぐ隣へ2022年(5月17日発表)に開設計画を始動させていたバッテリー組立工場(敷地面積12,000㎡)から供給される形だ。またバッテリーは再利用できる設計であるので、工場自体も100%再生可能エネルギー拠点として操業する。
今回のゲント工場でのEVトラックの量産開始について、ボルボ・トラックのロジャー・アルム社長は、「翻ってみると、ほんの数年前までは、大量輸送に係る大型トラックの電動化は、到底不可能な挑戦だと多くの人が考えていました。
しかし、私たちは大型トラックの電動化がゼロエミッションへの早道であると信じていました。そして現在、当社は業界をリードする幅広いタイプの大型EVトラックを生産・提供し、それらは世界の津々浦々で商業運転を消化し続けています。
なにしろ当社の大型EVトラックは、品質、安全性、デザインの他、ドライバーが求める快適さに於いてもお客様から愛されており、それは、それは心底嬉しい限りです。
そうした中でゲント工場は、当社のネットワーク内で最大規模の工場であるため、これからの将来を考えると、とてつもなく重要なマイルストーンとなります。
今後は、同拠点での大型EVトラックの増産に伴い、欧州地域で多くのお客様が電動車のメリットを享受できるようになると同時に、より多くの運送企業が、CO2を排出せずに商品を輸送できるボルボ車によるEV化を推し進めて下さるでしょう。
しかし、大きな電力シフトを現代社会で起こすためには、各国政府が今すぐ行動を起こし、新しい技術に投資する人々に向けて奨励プログラムを提供頂き、送電網の容量も増やして頂き、更にCO2税も導入する必要があると考えます」と述べた。
最後にボルボ・トラックスは、来たる2030年までに世界で販売するトラックの最低50%をEVトラックに置き換える目標を掲げている。そのためにも今年は、新たに欧州で大型3車種の生産を開始することを含め、合計6車種を世界各国で販売する計画だという。