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2020年10月23日【テクノロジー】

ZF、新世代のアクティブ後輪操舵システムを量産へ

NEXT MOBILITY編集部

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ドイツの大手自動車機器サプライヤーZFフリードリヒスハーフェン(以下、ZF)は10月23日、最新世代(第2世代)AKCアクティブ後輪操舵システムを量産開始することを発表した。最大10度となったステアリング角度により、全長の長い車両の敏捷性が高まり、また、ステアリング操作を電気信号で操舵装置に伝える「ステア・バイ・ワイヤ」技術で自動運転機能への統合が容易になった。ZFはこの製品の発売により、車両の挙動制御のマーケットリーダーとしての地位を明確に示す。

 

 

AKCアクティブ後輪操舵システムは、ZFの成功している技術の一つだ。このシステムには、車両中央に1つ大きなモーターを配置したセントラルアクチュエータータイプと、後輪左右それぞれにモーターが搭載されるデュアルアクチュエータータイプ(主にスポーツ設計の車両に適用)がある。AKCシステムはリアアクスルを安全性、快適性および優れたドライビング・ダイナミクスを付加するステアリングシステムに変化させる。デュアルアクチュエーターのシステム(第1世代)は、2013年に量産が開始され、現在までにAKCシステムはセントラルアクチュエーターを含め、世界の多くの自動車メーカーで50万台以上の車両に搭載されている。

 

 

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ZFのシャシ・アクチュエーター・プロダクトラインのシニア・バイスプレジデントであるインゴ・エルマンサは次のように述べる。「この第2世代AKCは、パフォーマンスとネットワーキング能力がさらに向上し、モビリティの自動化および電動化の要件を満たしています。」

 

 

セントラルアクチュエーターは11kN(以前は8kN)に作動力が増加し、最大3.5トンの車両にも適用することができる。また、アクチュエーターストロークの改善により、最大10度の後輪ステアリング角が取れるようになった。そのため、この新しいシステムは主にバッテリーEV(BEV)に適している。バッテリーEVは重いリチウムイオン電池と、長いホイールベース、また一般的に、車軸の間に設置された蓄電ユニットにより、後輪操舵がなければ、特に都市環境における操縦はより困難なためだ。

 

 

このAKCのもう一つの特筆すべき技術は、新しい電子アーキテクチャに基づく「ステア・バイ・ワイヤ」システムだ。ZFが開発したコントロールユニットは、最新のサイバーセキュリティによりハッカーの攻撃から守られ、パーキングやステアリングのアシスト機能と連携する。そのため、より大型のセダンでも、狭い路地の走行時や駐車時の操縦を容易に行うことができる。

 

 

高評価製品の生産開始

 

 

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ZFのカー・シャシ・テクノロジー事業部の責任者であるピーター・ホールドマン博士は、第2世代のAKC生産開始について、以下のように述べる。「ZFのアクティブ後輪操舵システムの需要は伸び続けています。そのため、我々は最近、オーストリアのレブリング工場に4番目の組み立てラインを開設しました。現在、年間100万台以上を生産することが可能です。」

 

 

第2世代AKCは、今年12月、世界的に有名な自動車メーカーの高級モデルに初めて採用される。この車の回転直径は前モデルに比べ2メートル小さくなります。今後、この後輪操舵システムは他のモデルへの搭載も予定する。

 

 

ホールドマン博士は以下のように述べている。「私たちの最新世代AKCは、まさにZFの技術進化を証明するものです。低速での操縦性向上に加えて、より高速での安全性を確保するのにも役立ちます。今回の受注、および当社の製品がスポーツカーモデルで採用されていることは、ZFの技術が幅広いアプリケーションに対応すること示し、また、車両の挙動制御領域のマーケットリーダーとしての当社の地位を強調しています。」

 

 

ZFにとって、ビークル・モーション・コントロール(VMC)という言葉は、シャシ制御ソフトウェアによって、ステアリング、ブレーキ、ダンピング・システムなど、車両の縦方向、横方向、垂直方向すべての挙動制御システムをインテリジェントにリンクし、制御することを意味する。ZFは、この領域において、さらなる開発を続け、ドライビングの楽しみや安全性を提供することで、自動車メーカーをサポートしていくようだ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。