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2024年7月22日【アフター市場】

横浜ゴム、グッドイヤーの鉱山・建設向け事業を買収

坂上 賢治

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横浜ゴムは7月22日、米国に本社を置くタイヤ生産販売会社のThe Goodyear Tire & Rubber Company(グッドイヤー社)の鉱山・建設用車両向けタイヤ(OTR=オフザロードタイヤ)事業を買収する契約を締結した。

 

買収価額は9億500万USドル(約1,294億円、換算レート:1ドル143円)で、関係当局の許認可などが得られることを条件として買収を完了する予定。

 

横浜ゴムは2024年度から2026年度までの新中期経営計画「Yokohama Transformation 2026(YX2026)」(ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーロク)に取り組んできた。

 

この「YX2026」では前中期経営計画「YX2023」から推進してきた既存事業に於ける強みの「深化」と新しい価値の「探索」をさらに推し進め、次世代に負の遺産を残さないという強い意志を持って変革の「総仕上げ」を行う構え。

 

こうした考えの下、横浜ゴムは各事業で定めた成長戦略を断行し、「YX2026」中または2027年度に「Hockey Stick Growth」(「うなぎ昇り」の成長)を果たすことを目指す。

 

 

なお今買収の目的と「YX2026」との整合性については「Hockey Stick Growth」を果たすための戦略投資の一環として実施する。「YX2026」では成長ドライバーであるOHT(オフハイウェイタイヤ)事業の成長戦略のひとつに「Programmatic M&A」(プログラマティックM&A)を掲げており、本買収によりOHT事業の更なる成長を果たし、企業価値を高めていきたい考えだ。

 

同買収で対象となったOHTの市場規模は約4兆円、市場成長率は年6%と予測されており、消費財タイヤ市場の年2%と比較し高い成長が期待できる。

 

横浜ゴムグループは市場の約40%を占めると予測される農業・林業用機械向けタイヤでは有利なポジションにある。そうしたことを背景に強固なブランド力を有するグッドイヤー社のOTR事業を自社グループに取り込むことで、農業用途以外の分野に於けるOHT事業の商品ラインアップを拡充する。

 

そんなグッドイヤー社のOTR事業の2023年度売上高は約6億7,800万USドル(約954億円、換算レート:1ドル140円67銭)、EBITDAは約1億2,900万USドル(約181億円)、EBITDAマージンは19.0%で、安定した収益性を維持している。

 

鉱山用車両向けや建設用車両向けタイヤでは世界的に認知された商品力、最先端の技術力、ブランド力を誇り、熟練スタッフによる専門サービスも展開している。商品ラインナップは25インチ以下の小型タイヤから49インチ~63インチの大型・超大型タイヤまで幅広く。これらの大型・超大型タイヤの統合により横浜ゴムが提供できるOHT商品とその価格帯の選択肢が広がることになる。

 

具体的な賠償施策で横浜ゴムは、OTR専用工場である日本ジャイアントタイヤ(兵庫県たつの市)、豪州のGoodyear Earthmover Pty Limitedの全発行済み株式に加えて、世界各国の生産拠点上のOTR資産を取得する。

 

このグッドイヤー社のOTR事業の買収により、異なるタイヤサイズと価格帯の商品ポートフォリオの強化を図ることができる。特にグッドイヤー社の商品ラインアップが追加されることで、農業・林業用機械向けタイヤに続き、非農業用向けタイヤのラインアップ強化を図ることができる。

 

また、横浜ゴムが保有していない大型・超大型タイヤの商品開発力と生産力を取得できる部分も目的にひとつとなる。これにより横浜ゴムは、新たな顧客へのアクセスが可能となり、需要が旺盛なサイズの生産・供給力を補完でき、OHTの全てのカテゴリーで強力な商品ラインを保有。その結果、顧客の需要にこれまで以上に対応することが可能となる。

 

加えて横浜ゴムのOHT事業とグッドイヤー社のOTR事業の強みを融合させることで、新商品や新サービスの研究開発、生産、販売、品質管理、ESGなど全ての領域でシナジー効果が望めるため、さらなる成長を加速させていきたい考えだという。

 

買収対象事業の概要
事業内容:鉱山・建設用車両向けタイヤ事業(OTR事業)
売上高:6億7,800万USドル(2023年度)
従業員数:約500名

 

The Goodyear Tire & Rubber Companyの概要
設立年:1898年8月
本社所在地:米国オハイオ州アクロン
資本金:2億8,500万USドル
主要事業:タイヤ生産・販売
売上高:200億6,600万USドル(2023年度)
従業員数:約71,000名

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。