横浜ゴムは、理化学研究所（理研）、日本ゼオンとの共同研究により、バイオマス（生物資源）から効率的にイソプレンを生成する世界初の新技術を開発した。

イソプレンは、自動車タイヤなどの原料として使われる合成ゴム（ポリイソプレンゴム）の原料のひとつ。

現在、ナフサ熱分解の副生成物として工業的に生産されているが、イソプレン生成技術の確立により、石油への依存度が低減、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素削減に貢献できると云う。

横浜ゴムと理研、日本ゼオンは、2013年から共同研究を進め、2015年に「in silico代謝設計技術（※）」を用いてコンピューター内でイソプレンの新規合成法を発見した。

新技術は、これを進化させたもので、世界初となる新しい人工経路の構築と高活性酵素の作成により、優れたイソプレン生成能を持つ細胞を創製し、この細胞内（in vivo）で、出発原料のバイオマス（糖）からイソプレン生成までを一貫して行うことに成功。さらに生成したイソプレンを重合してポリイソプレンゴムの合成を実現した。

研究にあたっては理研・環境資源科学研究センター（CSRS）が保有する細胞設計技術、植物科学技術を活用している。

※コンピューターで人工代謝反応を新規に設計する技術

イソプレンの細胞内生産の様子

自然界では、イソプレンの生成には、メバロン酸（糖から生成した中間物質）から、5段階の反応が必要とされるが、今回構築した新しい人工経路では2段階で行えると云う。また、高活性酵素は、自然界の酵素では不可能な驚異的なイソプレン生成能を持つとのことだ。

研究では、これらを、本来イソプレン生成能を持たない大腸菌に導入し、イソプレン生成能を持たせることで、効率的なイソプレン生成を人工的に行った。

また同技術が、同じ合成ゴムのブタジエンのようなジエンゴムにも適用できることを確認したとしている。