横浜ゴムは5月15日、内閣府の「研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム( BRIDGE )」の対象施策として環境省が担当するプロジェクト「先端技術を用いたASEAN地域からの自然資本のサステイナブル調達の評価検証事業に協力機関として参画した。
この研究開発は、独立行政法人環境再生保全機構が公募した「諸外国での金属・自然資源等の再生資源の調達等に向けた国際ルールへの対応と海外調査事業」に於いて採択されたもので、実施期間は2024年4月~2025年3月の1年間となる。
当該研究開発では、みずほリサーチ&テクノロジーズが国際航業と共同で、リモートセンシング技術( 衛星情報を解析し、森林の状態や農作物の品質と生育状態などを把握する )などの先端技術を活用することで、プランテーションや農場の範囲を正確に把握し、自然資本に関する事業活動の定量的な評価指標と判断基準の作成、モニタリング手法の開発などを行い、持続可能な原材料調達の促進と自然資本に関する適切な情報開示の実現などを目指す。
横浜ゴムは、天然ゴムの調達を行う事業者としてタイの天然ゴム農園に於いてモニタリング手法の実証を行う。
横浜ゴムグループが調達する天然ゴムのサプライチェーンには、多数の小規模ゴム農園、仲介業者や加工工場が介在し、非常に複雑な構造となっている。
そのため、サプライチェーンに於ける違法な森林破壊、水資源管理などの環境問題に関するリスクの評価・モニタリングが困難となり、持続可能な調達を促進する上でトレーサビリティの確保が課題となっていた。
そこで研究開発への参画を通じてモニタリングや情報開示の手法を確立することで、持続可能な天然ゴムのためのプラットフォーム( GPSNR/Global Platform for Sustainable Natural Rubber )を推進。サプライチェーンに於ける天然ゴムのトレーサビリティの向上を図り、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言などに基づく情報開示への取り組みを加速していきたい考えだ。
研究開発の概要は以下の通り
採択テーマ
先端技術を用いたASEAN地域からの自然資本のサステイナブル調達の評価検証事業。
目的
(1)自然資本の調達先の把握に資する推定手法の開発
(2)自然資本に関する事業活動の定量的な評価手法、判断基準、モニタリング手法の開発
(3)「上記を経年モニタリングするため」のツールの開発
達成目標
(A):「自然資本にかかるインパクト評価指標と判断基準およびモニタリングの手法作成」を目指す前提として、トレーサビリティの確保のためのインパクト評価すべき場所(範囲)の推定手法確立を目指す<研究目的(1)に適うもの>
(B):自然との接点(事業場所など)にかかる現状を正確に把握するため、推奨ツールを参考に時間的・空間的解像度の高度化を行う。リスクや機会の把握への活用はもちろんのこと、自然資本にかかるインパクト評価指標案の検討にも活用する<研究目的(2)に適うもの>
(C):先端技術を活用して把握可能な定量的な自然資本関連エリアのインパクト評価指標を1つ以上検討し、金融機関として活用可能であるかという点についてフィードバックを受け、実用可能性を検証する。高度化したモニタリングツールに加え、自然資本にかかる情報開示基準や各種認証との整合性も検討する<研究目的(2)に適うもの>
(D):利用者は事業者および金融機関であるため、モニタリング手法は特別な知識を有さずとも利用可能となるようにユーザビリティに配慮した手法を1つ以上検討する<研究目的(3)に適うもの>
期間
2024年4月~2025年3月
実施体制
みずほリサーチ&テクノロジーズ(研究代表機関)
国際航業(共同研究機関)
協力機関・学識者
– 横浜ゴム
– UCC上島珈琲
– みずほ銀行
– バイオーム
– バードライフ・インターナショナル東京 など