横浜ゴムは、10月15日、同社の天然ゴム調達についての考え方や取り組み、サプライヤー各社への要望を示した「持続可能な天然ゴムの調達方針」を策定したことを発表。同社グループでは、この方針を関係するサプライチェーン全体で共有し、天然ゴムの持続可能性の実現を目指す。
今回の方針策定の背景は次の通り。
近年、世界的な人口増加とモビリティの発展により、タイヤおよびその主原料である天然ゴムの需要はますます増大。
その一方で、天然ゴムが生産されている地域での違法な森林伐採や土地収奪、人権侵害などの問題、生物多様性への悪影響などが懸念されている。
同社では、これらの課題解決に向け、天然ゴム、合成ゴムの生産国と消費国の政府で構成される政府間組織である「国際ゴム研究会」が提唱する天然ゴムを持続可能な資源とするためのイニシアティブ(以下、SNR-i)に参画。
また、約35カ国の企業約200社が参加するCEO連合体の「持続可能な発展のための世界経済人会議(以下、WBCSD)」のタイヤ産業プロジェクト(以下、TIP)のメンバーになっている。
そして現在、WBCSD TIPでは、持続可能な天然ゴムのためのプラットフォーム作りに取り組んでおり、その活動に参画する同社としても、こうした世界的活動に基づいた「持続可能な天然ゴムの調達方針」を策定したという。
今回同社が策定した「持続可能な天然ゴムの調達方針」は、SNR-iの内容とWBCSD TIPが2018年5月に「World Rubber Summit 2018」で提案した主要な構成要素に基づいており、横浜ゴムグループが取り組むこととサプライヤーへの依頼事項を、トレーサビリティ構築、人権・労働・環境保護などの各項目にわたって記載。
加えて、YOKOHAMA千年の杜(同社グループによる、潜在自然植生に即した樹種の苗木を植える活動)で培ったノウハウの提供など、横浜ゴムグループ独自の取り組みも盛り込んでいる。
ちなみに、本方針の実施状況は同社公式WEBサイト(https://www.y-yokohama.com/csr)などで公開する予定だ。
同社では、従来から、例えば天然ゴムの生産国であるタイで2013年から現地の複数の大学と天然ゴムの共同研究を進める等、天然ゴムの持続可能性を実現するために独自の活動を実施してきた。
今後はそれらに加え、「持続可能な天然ゴムの調達方針」に則った活動をサプライチェーン各社とともに確実に推進し、CSRの重要課題のひとつに掲げた「バリューチェーンを通じたCSR活動の推進」のさらなるレベルアップを図る予定だ。