横浜ゴムは8月10日、情報システム開発子会社のハマゴムエイコムとの協力の下、AIによる配合生成技術を活用した「ゴムの配合設計システム」を独自開発し、その実用を開始したと発表した。
システムでは、AIが目標とするゴムの物性値を満たす配合を提案。人が考え付かなかった配合などの新たな知見を得られるため、開発のさらなるスピードアップや、より高性能な商品の開発が期待できると云う。
今回開発された「ゴムの配合設計システム」は、入力された“ゴムの配合設計パラメーター”からAIが予測される配合物性値を出力するという従来のプロセスに対して、“配合物性値”を指定すると、数万件ものゴムの配合を学習したAIが100種類以上の配合剤を組み合わせて候補となる配合を生成、その上で生成した配合の予測物性値と目標物性値とを比較しながら要求された配合を提案することが可能。
さらに、基準とする配合や用いたい配合剤の指定の他、特定の配合を選択しその周辺で配合データを生成することも可能で、人とAIが協奏しながら新たな知見が得られるように設計されていると云う。
横浜ゴムでは2020年、人間特有のひらめきや発想力とAIが得意とする膨大なデータ処理能力を活かした“人とAIとの協奏”によって、デジタル革新を目指す構想の「HAICoLab(ハイコラボ/※)」を策定。人が設定する仮説に沿ったデータの生成・収集と、AIによる予測・分析・探索を繰り返すことで未踏領域での知見の発見を目指し、同年には“ゴムの配合物性値予測システム”を、そして翌年には“タイヤ特性値予測システム”を実用化するなど、材料およびタイヤの設計開発プロセスでAIを活用した技術開発を進めてきた。
そして今後は、プロセスに加え製品やサービスなどの革新を目指して全社的にAIの利活用を推進し、ユーザーエクスペリエンスの向上や、内閣府が提唱するAIやIoTなどの革新技術により実現する新たな未来社会の姿「Society 5.0」の実現に貢献していきたいとしている。
※Humans and AI collaborate for digital innovationを元にした造語で、人とAIとの共同研究所という意味合いも込められている。