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2020年10月26日【部品・生産】

矢野経済研究所、ADASデバイスの国際成長予測を公表

NEXT MOBILITY編集部

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矢野経済研究所・ロゴ

 

 

矢野経済研究所は10月26日、ADAS/自動運転用キーデバイス・コンポーネントの世界市場の調査を実施。自動運転車に搭載されているADAS/関連センサの市場概況、技術動向、自動車部品メーカの搭載動向を分析結果を公表した。

 

調査内容は、2025年までの世界市場規模をセンサ種類別に予測したもの。それによると2025年までに2兆4千億円に成長すると予測。自動化レベル2+の搭載拡大がセンサ市場をけん引し、短距離レーダの出荷数量が2024~2025年にかけて拡大する見通しとしている。

 

 

 

 

先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driving Assistant System)とは、車両のフロントやサイド、リアに装着されたセンサにより車両の周辺状況を検知し、事故を未然に防ぐシステムのこと。自動運転システムはADAS技術の発展系であり、車両に搭載されたセンサや高精度地図、通信機能などにより、ドライバーに代わってシステムが運転の主導権を持つシステムであり、運転支援・自動化のレベルに応じて6段階に定義されている。ADAS/自動運転用センサ市場に含まれる商品・サービスは、77GHzミリ波レーダ、24GHz準ミリ波レーダ、センシングカメラ、リア / サラウンドビューカメラ、赤外線レーザ、LiDAR、超音波センサとなっている。

 

 

同調査対象は、いずれも、乗用車および車両重量3.5t以下の商用車に搭載されるセンサモジュールを対象とし、レベル4以上のMaaS(Mobility as a Services)車両や、人が乗車できないLSV(低速車両)向けセンサは除く。

 

 

【今回の分析内容詳細】

 

 

1.市場概況

2019年におけるADAS(先進運転支援システム)/自動運転用センサの世界市場規模は、メーカ出荷金額ベースで1兆3,602億円に達しており、2017年から拡大基調が続いている。AEB(自動緊急ブレーキ)の標準搭載が日米欧各国で進んでおり、中国においても急速に搭載車種が増加している。
このため、車両の前方を検知するレーダ(77GHzミリ波)やセンシングカメラの出荷数量が拡大しており、2019年におけるレーダの世界市場規模は4,608億円、カメラは8,086億円であった。

 

 

2020年は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、世界の新車販売台数が大幅に落ち込むために、日米欧中各国のADAS搭載車両の市場規模も縮小し、特に減少幅が大きいのが欧州、米国で20%以上の落ち込みとなる見込みである。このため、2020年のADAS / 自動運転用センサの世界市場規模は、前年比18.3%減となる1兆1,112億円になると予測する。

 

 

2.注目トピック
車両のフロントに搭載され、前方を認識するセンシングカメラの高機能・高性能化が次のステージに入っている。2019~2020年にかけての注目されるトピックは「3眼カメラ」「CIS(CMOSイメージセンサ)の高画素化」の2点である。

3眼カメラは、2019年に市場投入された自動化レベル2+車両に採用されており、視野角(FOV)52度の標準カメラに、望遠カメラと広角カメラを1モジュール化したものである。望遠 / 広角カメラを追加することでカメラの検知範囲が格段に広がり、先行車両の加減速やカットイン(割り込み)、道路形状を、早めに認識することでスムースな加減速と自動操舵によるハンズオフを実現している(※ハンズオフの作動条件に応じては、3眼カメラだけでなく、高精度地図やV2X[Vehicle to X]通信機能が必要)。

 

 

一方、CISの高画素化については、1.7MピクセルCISを採用したセンシングカメラの搭載が始まっている。従来の1.3Mピクセルから1.7Mピクセルにすることで、FOV52度から100度に広角化し、交差点におけるAEB(自動緊急ブレーキ)機能を実現している。さらに、2Mピクセルを搭載したステレオカメラの採用も始まり、今後は実現する運転支援機能や、車両セグメント / グレードに応じて、CISの高画素化とカメラタイプの使い分けが加速する見込みである。

 

 

3.将来展望
2025年のADAS / 自動運転用センサの世界市場規模は、メーカ出荷金額ベースで2兆4,808億円に成長すると予測する。2020年は新型コロナウイルスの影響を受けて、一時的に市場はマイナス成長となるが、2021年からは回復基調に戻り、2025年に向けてAADAS装着率は日米両国が90%、欧州80%、中国で70%を超えるために、ADAS用レーダ、センシングカメラの出荷数量が堅調に推移する見通しである。

 

 

また、自動化レベル2+の搭載車両の拡大がセンサの市場規模拡大をけん引する。レベル2+の高速道路限定ハンズオフ(手放し)機能の採用が高級車を中心に始まっており、これから2023年にかけて主要自動車メーカにおいて市場投入が活発化する。
レベル2+ではハンズオフを実現するために、フロントに長距離レーダ、センシングカメラを配置するだけでなく、前後左右に短距離レーダを搭載してフロント/リアの検知範囲を広げている。このため、レベル2+搭載車両の拡大が、短距離レーダの出荷数量を押し上げることになる。2024~2025年にかけては、CMOSプロセスによる短距離レーダのコストダウンが進むために、レベル2+は低速ハンズオフを中心に中級車まで設定車種が拡大する見込みで、2025年におけるレーダの世界市場規模は8,505億円に達するだろうと予測している。

 

 

【調査要綱】

 

 

1.調査期間: 2020年7月~9月
2.調査対象: 自動車メーカー、自動車部品メーカー、車載用半導体メーカー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含)、電話によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。