矢野経済研究所は、5月1日、同社が実施した車載モータの世界市場に関する調査結果を発表。2016年に世界需要が約30億個となった車載モータは、燃費向上技術の採用や電気自動車(EV)の普及などで今後も需要が伸び、2025年には約44億個になると予測した。
調査は、2017年11月から2018年3月にかけて、自動車システムメーカーやモータメーカーなどを対象に実施。
ここでいう車載モータとは、スターターやオルタネータ、各種補機類から次世代自動車(HEV/EV)に用いられる主機モータまで、すべてのモータを対象としている。
調査では、2016年の車載モータ世界市場は約29億9,900万個(車両生産台数ベース)に到達し、市場は拡大傾向にあると言及。
その背景については、世界規模で厳格化している環境規制が影響しているとする。
これは、例えば2021年にCO2排出量が95g/㎞と世界に先駆けて厳しい規制を施行する欧州や、世界最大の自動車市場である中国でも2020年に117g/㎞と主要国に迫る燃費規制目標が定められていることが挙げられる。
そういった中で、自動車メーカー各社では今まで以上に燃費改善技術の開発が求められていることが、近年の車載メータの需要増に繫がっていると同社の調査は指摘する。
また、燃費向上だけでなく、安全性や利便性の向上を目的とした高機能化でも、これまでの機械式で稼動させていたシステムを電動化(=モータを採用)することで実現していくことを予想。
それが、「パワートレイン、シャシなど各領域で車載モータ搭載数増加の追い風になっている」としている。
調査では、車載モータの領域別調査も実施。
それによると、2016年の世界市場規模において最も大きな比率を占めるのはボディ領域(パワーウィンドウやパワーシート、ダンパモータ等)で、全体の73.6%。
最近話題の次世代自動車システム領域(主機モータや電動コンプレッサ、各種電動ポンプ等を含む)は、現状では需要個数が少なく1%にも満たない結果に。
但し、同社では今後「次世代自動車の普及に伴い増加が見込まれ、2025年には全体の2.0%を占める」と予測している。
この結果によると、電気自動車など次世代自動車への搭載だけでなく、燃費や安全性の向上など、多くの領域で今後も車載モータの需要は増えていきそうだ。