ヤマハ発動機は3月8日、子会社であるヤマハモーターMIRAIについて発表を行った。
新たな事業領域として、総務系のシェアードサービスを開始
「確かな機能」を担って次のステージへ
「ヤマハ発動機グループの一員として、『グループの経営に貢献する会社』として成長していくために、その第一歩を踏み出しました」
こう話すのは、ヤマハの特例子会社、ヤマハモーターMIRAIの高橋愛社長。同社では現在、32人の知的障がい者と3人の精神障がい者が、社員として部品梱包や清掃、事務などの仕事をしながら自立を目指している。
障がい者の法定雇用率が2021年3月に改訂され、民間企業では全従業員のうち2.3%以上の障がい者の雇用が義務づけられる。ヤマハは2020年の実績で2.56%の雇用率を保っているが、MIRAI社は特例子会社としてその一部を補完する役割も担ってきた。
「確かにこれまでは、それでよし、という考え方もあったかもしれません。ですが、会社を持続し続けていくためには、確かな機能を担ってグループに欠かせない存在になることが不可欠だと考えています」
その言葉どおり、今年1月からは従来の業務領域に加え、同社の社内メール便の仕分や集配等を行う総務サービスセンターの運営なども事業に取り込み、「確かな機能」としてのスタートを切った。「めざす姿は、総務系サービスのシェアードの一端を担う、ヤマハ発動機グループのエッセンシャルカンパニー。まだまだ課題もありますが、そこに向かって基盤を整えていきたいと考えています」
社員の意識向上を促すビジネスマナー研修
ユニバーサルな職場から価値を生み出す
会社のステージを上げていくためには、社員のスキルの向上が欠かせない。2020年末の社員総会で「会社が大きく変わっていきます。そういうチャンスをつかめたのも、みんなが5年間、しっかりと仕事をしてきてくれたおかげ」と労いの声をかけた高橋社長。その一方で、キャリアやスキルに応じたステップアップの仕組みを取り入れるなど、社員の意欲を掻き立てる取り組みも始めたという。
もっともやさしい業務の一つ、部品梱包を担当していた17人のうち、2020年、7人がこの仕事を卒業。より高いスキルが求められる職場に移り活躍しているという。また、事務系業務のカバー領域も拡大し、文書資料のデータ化やオンライン研修のための映像品質チェックなど、当社各部門からMIRAI社への相談や発注も広がりを見せている。
「障がい者と健常者がともに働くシーンは、今後ますます増えてくると思います。そんなユニバーサルな風土から価値を生み出して、人や社会の期待を超えていきたい」と話す高橋社長。福祉から企業へ。「社員も、会社も、良い方向に向かっている」と手応えをつかんでいるという。
■ヤマハモーターMIRAI(株)
https://www.yamaha-motor-mirai.co.jp/