ボルボ・カーズ(以下、ボルボ)は6月18日、スウェーデンの鉄鋼メーカーであるSSAB(スウェーデン・スティール)社と提携し、自動車に使用される化石燃料を使わない鉄鋼(以下、非化石鉄鋼)の開発を共同で検討すると発表した。
ボルボは、この提携を通じて、SSAB社とその非化石鉄鋼開発プロジェクトである“HYBRITイニシアチブ(以下、HYBRIT)”に、自動車メーカーとして初めて協力する。
HYBRITは、SSAB社、鉄鉱石メーカーのLKAB、エネルギー会社のVattenfallが共同で立ち上げた、製鉄に必要な化石燃料の原料炭を電気と水素に代替することで製鉄時の二酸化炭素排出量をほぼゼロにまで減らすことを目指すプロジェクト。SSAB社では、この非化石鉄鋼を、2026年を目処に市場へ供給することを目指しており、またこれにより、スウェーデンのCO₂排出量を10%、フィンランドのCO₂排出量を7%削減する目標を掲げている。
今回、ボルボは、自社の生産車に非化石鉄鋼を用いる最初の自動車メーカーとなるべく、SSAB社と提携し、その開発を共同で検討する。
また、このコラボレーションの一環として、スウェーデンのルレオにあるHYBRITのパイロットプラントで製造された水素還元鉄から作られたSSAB社のスチールを、自動車メーカーとして初めて確保。このスチールをテスト目的やコンセプトカーで使用することを考えていると云う。
ボルボのホーカン・サムエルソンCEOは、SSAB社との非化石スチール開発の共同研究について、「二酸化炭素排出量を継続的に削減していく中で鉄鋼がさらなる進歩のための主要分野であることはわかっています。SSAB社との非化石スチール開発により、当社のサプライチェーンにおいて大幅な排出削減が可能になります」と述べている。
また、SSAB社の社長兼CEOであるマーティン・リンドヴィストは、「私たちは、最終顧客に至るまで、完全に化石燃料を使用しないバリューチェーンを構築しています。私たちの画期的な技術は、カーボンフットプリントがほとんどなく、顧客の競争力強化に貢献します。ボルボと協力して、未来の車のために化石燃料を使わない鉄鋼製品を開発することを目指しています」と述べている。
現在、鉄鋼産業の炭素排出量は、原料炭を使用する高炉による製鉄が主流であることから、世界の約7%を占めていると云う。また、ボルボの場合、自動車に使用される鉄鋼生産に関連するCO₂排出量は、その部品の材料や生産に伴うCO₂排出量全体の内、従来型の車で約35%、電気自動車(BEV)では、約20%に相当すると云う。
ボルボは、2030年までに純粋な電気自動車のみをラインアップする完全な電気自動車ブランドへの変貌を遂げるべく、現在、走行時にとどまらず、材料のリサイクルや再利用など、サプライチェーンをも含む事業活動広範において、二酸化炭素排出量を削減する取り組みを進めており、SSAB社とのコラボレーションは、その最新の取り組みになるとしている。
また、短期的には2018年から2025年の間に、自動車1台あたりのライフサイクルにおけるカーボンフットプリントを40%削減することを目標に、2040年までに、気候中立(実質排出ゼロ)な企業となることを目指すとしている。
■SSAB(英語):https://www.ssab.com/
■SSAB(日本語):https://www.ssab.jp/