スウェーデンのボルボ・カーズは、現地時間の7月1日、電気自動車(EV)の旺盛な需要に対応し、将来の成長性を確保するため、欧州で3番目となる自動車の製造工場を、スロバキア東部のコシツェ近郊に新設すると発表した。投資額は約12億ユーロ(日本円:約1,691億円/1ユーロ=140.92円で換算(7月4日時点))(※1)。
新工場は、2030年までに100%をEVに、2040年までにクライメート・ニュートラル(気候中立)なオペレーションを実現させるという同社目標を支えるものとして、成長計画に合わせてグローバルに生産能力を拡張していくと云う。
コシツェ工場の建設には、来年着工。2024年には設備と生産ラインを設置し、2026年から次世代EVの量産を開始する予定。年間最大25万台の自動車生産能力を有する同工場では、数千人の新規雇用が期待できる他、将来的には工場の更なる拡張も計画していると云う。
新工場は、エネルギーおよび環境効率に於いて最高レベルの世界標準を目指し、最適化されたレイアウトと物流フローによる、持続可能かつ効率的なプレミアムEV生産拠点として設計され、同社の目標である「2025年までにクライメート・ニュートラルな生産活動を行う」に沿って、クライメート・ニュートラルに即したエネルギーのみを使用。
ボルボ・カーズは、このスロバキア コシツェの新工場を以て、西ヨーロッパのゲント工場(ベルギー)、北ヨーロッパのトースランダ工場(スウェーデン)を補完し、最大の販売地域をカバーするヨーロッパの製造トライアングルを形成。また、同国5番目の自動車工場として、既に確立された自動車部品供給網の恩恵も受けられると云う。
なお、ボルボ・カーズにとって、欧州に於ける新製造拠点の設立は、1964年のトースランダ工場、その1年後のゲント工場の開設以降、約60年ぶり。新工場完成の暁には、3拠点合わせて、年間60万台の自動車生産が可能になる。
2020年代半ば迄に年間販売目標120万台を掲げるボルボ・カーズは、欧州、米国、アジアにまたがるグローバルな生産拠点により、今後、目標達成を目指していくとしている。
※1:スロバキア政府による約20%の支援を予定。
[新工場建設についてのコメント]
・ボルボ・カーズ ジム・ローワンCEO
「私たちは、2030年までに完全な電動モビリティ・ブランドになるという明確な目標を掲げており、これは私たちの目的に沿ったものです。
最大の販売地域である欧州での生産拡大は、当社の電動化へのシフトと継続的な成長にとって極めて重要です。私は生産拠点をスロバキアに拡大することを大変嬉しく思います。また、これから新しい仲間やパートナーを迎えることを楽しみにしています」。
・ボルボ・カーズ ハビエル・ヴァレラ最高執行責任者
「ボルボ・カーズ・コシツェのチームとグローバルなボルボ・カーズ・ファミリーに新しいメンバーを迎えること、そしてこの地域で新しいコラボレーションやパートナーシップを確立することを楽しみにしています。サステイナビリィティと安全性を重視した最新鋭の工場で、現代的な職場となるでしょう」。
・スロバキア共和国 エドゥアルド・ヘーガー首相
「ボルボ・カーズがスロバキアに新工場を建設することを決定したことを高く評価します。ボルボ・カーズの新工場は、地域社会の経済状況を改善し、電気自動車のみを生産することにより、新しい環境の時代においてスロバキアの自動車産業に競争力を与えることになります」。
・スロバキア リチャード・スリック経済大臣
「個人的に、スロバキアがこの巨大投資の競争に勝ち抜いたことを大変嬉しく思います。この投資は、スロバキア東部に発展と多くの雇用をもたらし、直接的及び間接的に雇用機会も多くもたらすでしょう」。