ヴァレオIAAトランスポーテーショで提案したLiDAR搭載トラック
仏・ヴァレオは、ドイツ国内で開かれたIAAトランスポーテーション( 開催地:ハノーバー / 期間:2022年9月20日から25日まで )で、「乗客輸送+貨物輸送」に係る技術提案を行った。( 坂上 賢治 )
ヴァレオによると前回のIAA商用車ショー開催時の4年前と比べ、事業上の受注規模を約50%拡大させる事に成功しており、額面ベースでの上積みでは数十億ユーロに達しているという。
これはヴァレオが、商用車向けに提案するフィールド範囲自体が5割増になっている事に加え、今日の産業界で起きている変革が、自社保有のテクノロジーに係る投資とダイレクトに連携しているからだとしている。
こうした取り組みの変化についてヴァレオでは、「今後も幅広いイノベーション領域での開発成果を提供していく事で、時代の大きな変化を乗り切り、成長戦略を加速させていく構えです。
そのために我々は、電動モーター等の駆動システムを筆頭にADAS、操舵システム、ドライビングに係る空間システムなどの研究が、今後、商用車にどのように役立つかを追求する新戦略「Move Upプラン」を2022年2月に発表しました。これは未来のモビリティ環境を新しい価値観をベースにゼロから創造していくものとなっています。
例えば、電動パワートレインでは、高出力システムから低電圧までを網羅。利用用途の旅客輸送はもちろん都市間の長距離輸送から、街のラストマイル配送までの幅広い領域をカバーしています。
その一例となる800V SiCのインバーターは、トラックの電動モーターを制御する「頭脳」にあたるもの。対して400Vと800V eAxles は車軸の中央に配置された駆動ユニットで、電動モーターとトランスミッションに、それらを制御するパワー エレクトロニクスを内蔵したものを新たに開発しました。
一方で動力性能面が高度なEVでは、革新的なサーマルシステム無しで成り立ちません。そこで我々は、バッテリー・サーマルマネジメント、室温制御、ヒートポンプ技術などを組み合わせて電力を極力消費しないEVバス用の冷暖房システム「ヴァレオREVO – E HPR744」を用意しています。
ヴァレオ ドライバーモニタリングシステム
また貨物輸送分野を担うヴァレオFlexHeaterでは、ドライバーに快適さを提供するEVトラック向けの低エネルギーでインテリジェントな輻射熱暖房システムを提案しています。
これに併せて安全面への配慮も欠かせません。同分野に関しては、運転席のフロントガラス内側に取り付けるドライバー モニタリング システム(DMS)を提案しています。これによって眠気や注意散漫を防ぐべく日常的にドライバー情報を提供。更なる誘導・警告・支援機能に繋げていくものとなっています。
ヴァレオCycleeドライブユニット
最後にCyclee テクノロジーでは、48V電動モーター、自動ギアボックス、AIによる予測ソフトウェアが統合されたシステムソリューションを提供。軽車両から排出されるCO2を最小限に抑えながら、都心の移動効率を高めていくデリバリー環境を実現させていきます」と記している。
eCargo
今後ヴァレオは、人やモノを輸送させる方法論が大きく変化する兆しを見せている中、常に持続可能なソリューションを提供できるようOEM向けの売上高の10%以上をR&D分野に還流・投資していく構えだと結んでいる。