世界的自動車部品サプライヤーのヴァレオは、内閣府が中心となり、関係府省・機関が連携して推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」において、2019年10月以降に予定されている東京臨海部における自動運転の実証実験に同社の製作車両Cruise4で参画することを発表。
6月13日に、日本法人のヴァレオジャパンが明らかにした。
SIPは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクトのこと。
その第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」について内閣府では、
「自動運転を実用化し普及拡大することにより、交通事故の低減、交通渋滞の削減、交通制約者のモビリティの確保、物流・移動サービスのドライバー不足の改善・コスト低減等の社会的課題の解決に貢献し、すべての人が質の高い生活を送ることができる社会の実現を目指して、産学官共同で取り組むべき共通課題(協調領域)の研究開発を推進する」
としている。
今回ヴァレオが参画するのは、その一環として実施される東京臨海部実証実験で、臨海副都心地域、羽田空港地域、羽田空港と臨海副都心等を結ぶ首都高速道路(一般道を含む)を同社の自動運転車Cruise4Uで走行し、取得した実験データの公表及び分析結果などを報告することになっている。
Cruise4Uは、同社が自動運転機能を実証する目的で2018年10月に行った日本一周ドライブ「ハンズオフ ジャパン ツアー」を実施した車両。
ツアー中、同車両は国内の高速道路約6700キロメートルを約3週間で走行、うち約98%を自動運転モードで走った実績を持つ。
搭載する検知システムは主に以下の通り。
・AIアルゴリズムを使用する高度なソフトウェア
・6台のヴァレオSCALA 1 3Dレーザースキャナー
・1台のヴァレオSCALA 2 3Dレーザースキャナー
・1台のフロントカメラ
・4台のサラウンドビューカメラ
・4台のコーナーレーダー
・12個の超音波センサー
同車両では、これらセンサーが取得したデータを統合することで、冗長性のある360°全周囲検知マップを生成、より安定した自動運転を可能としている。
また、これらセンサー類の中で、ヴァレオSCALA 2 3Dレーザースキャナーは、前述の「ハンズオフ ジャパン ツアー」終了後に追加されたものだ。
独自の3DレーザースキャナーSCALAの最新モデルであるSCALA 2は、現行品に比べて垂直方向の視野角が3倍広くなり、路面表示の読み取りなどへの活用が可能。これにより、より高度で正確な自動運転制御を実現する。
より安全で快適な自動運転を実現するための走行環境を構築することなどを目的とした今回の実証実験だが、ヴァレオの技術がそれらに対しどう貢献していくのかが注目される。