ヴァレオは12月15日、同社の48Vモーターをe-bikeに適合させ、高性能、高効率、インテリジェントで乗り心地が良く、堅牢で取り付けやすい、画期的な二輪車用電動アシストシステムを開発したと発表した。
ヴァレオの会長兼最高経営責任者(CEO)であるジャック・アシェンブロワ氏は、「ヴァレオは、新たな『ゼロエミッション』モビリティを新興市場で加速的に拡大させることを重点戦略の一つに据えています。
これには、市街地用の電動小型車、電動オートバイとスクーター、ラストマイルデリバリー用の自動運転ドロイド、電動自転車などが挙げられます。 この実現に向けてヴァレオは、ADAS(先進運転支援システム)と低電圧の電動化(48V)に特化して自動車業界向けに開発した技術プラットフォームを活用し、適用していきます」と述べている。
今回発表されたヴァレオのスマートe-bikeシステムは、同社としては世界初と謳う電動モーターとアダプティブオートマチックトランスミッションの両方をペダルアセンブリに統合させた構成となっている。
この組み合わせはサイクリストの踏力に合わせて駆動を提供するものだとしており結果、乗り手がバイクにしばられることはなくなるのだという。なおギアチェンジはシステムのアルゴリズムによって自動で行われ、漕ぎ出しから必要な電動アシストを得ることができるとした。
そもそも48Vシステムをモビリティに用いたのは自動車のPHVとEVが皮切り、以降、eトラック、自動運転シャトル、eスクーター、三輪車、配達用ドロイド向け搭載と続き、今回はその48Vシステムの仕組みを自転車に搭載させた。
この組み合わせは仏ロワール・マクラスに本拠を置く自転車ギアボックスの専業企業のEFFIGEARから提供されたもの。これにヴァレオが48V電動モーターを組み合わせた。ちなみに多くの既存電動アシスト自転車は24Vまたは36Vモーターを搭載している。このため乗り手の踏力から最大8倍にあたる130Nmのトルクを駆動力して発揮でき、14%の勾配を150kgの荷物を載せて登ることが可能だ。
また電動自転車向けとしては、世界初になるというヴァレオのオートマチックトランスミッションは、ボタンやレバーでシフト操作を行うことなく、乗り手一人ひとりのライディングスタイルやコースに応じて踏力との関係を自動調整する。加えてペダルアセンブリに盗難防止機能が搭載されていること。重い荷物を運ぶ時に便利なプッシュアシスト機能、他のサイクリストを追い越す際などに使えるブースト機能も実装した。
現在、電動自転車市場は今後10年間で15倍の拡大が見込まれ、2030年には世界規模の売上高で2億7000万ユーロに達する見込み(McKinsey/Center For Future Mobility -2020による)だという。
特に配送用の電動カーゴバイクの市場は、車両の市内中心部へのアクセスを禁止する規制が徐々に施行されるにつれて大きく成長すると見込まれている。そんなヴァレオが、この電動アシスト自転車で目指したのは、このソリューションを多様なモビリティに対応させていくことにある。
元々ヴァレオは電動車で48Vモーターに係る膨大なアセットを保有している(毎年約3,000万台の電動車を生産している)ため、このスケールメリットをより広域で活かしたい構えだ。