米バークシャーハサウェイ傘下で半導体・電子部品のオンライン商社として活動するマウザー・エレクトロニクス(Mouser Electronics Inc、本社:米国テキサス州マンスフィールド、代表取締役社長兼CEO:グレン・スミス)は8月4日、日本国内の報道陣を募ってオンライン年次記者会見を実施。会見ではまず、マウザー本社でグローバル・サービス及びセールス担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントを務めるマーク・バーロノン氏がビデオメッセージで登壇した。(坂上 賢治)
このパートでバーロノン氏は「今年、世界のエレクトロニクス業界が、確実にコロナ禍の影響を受けると思われていました。例えば中国では、旧正月を迎えた頃以降、経済停滞を懸念する見方がありました。しかし同国の当社事業は持ち直しが早く、さらにその後の欧州・米国市場の下支えもあって、我々は早くも堅調さを取り戻しつつあります。むしろ今や世界各地で明るささえ見え始めている程です。
そもそも我々は、850を超える主要サプライヤーと8億2,000万ドルを超える豊富な製品群を備えており、そのなかで人工呼吸器などの医療系製品のラインナップは、今日も世界の医療関係者の皆様のお役に立ち続けています。
もとより当社は、時代・時代でお客様がお求めになられる製品在庫を日々拡充させていくことが事業の根幹であり、私たちは世界規模で、さらなる製品ラインナップ拡大と出荷体制の拡充を整えつつあります」と語った。
続いて同社APACマーケティング・ビジネス担当でバイス・プレジデントでもあるダフネ・ティエン氏が登壇。同氏は〝COVID-19〟が、自社事業にどのような影響を与えたかを以下のように説明した。
同氏によると、まず世界規模で〝在宅勤務が広く浸透した〟こと。これがオンライン事業を核としているマウザー社にとっては、むしろ追い風になったことを挙げた。そしてこれがコロナ禍に於いても事業成長の大きな原動力になったと話す。
このオンライン販売が製品の受注下落を抑え、新規顧客数(今年度上半期の)はむしろ前年比1.6%増の12万3500へ伸張。うち63%が米国外からの顧客だったことを振り返った。結果、世界規模に於ける売り上げ額は前年同期比6%増に。また地域をアジア太平洋だけに絞り込んだ場合、同18%増になったことを示した。
ちなみにこの時期、最も業績に貢献したものは、受注製品を自動ピックアップするロボット「VLM(バーティカルリフトモジュール)」の稼働が始まったことが大きいという。これにより製品ピックアップに至る作業効率が25%向上。これが人の手による作業スペース削減に繋がり、取り扱い在庫の区画が拡大。早々に製品点数が約107万点へと増加する計画も披露した。
さらに日本法人代表兼本社バイス・プレジデントの勝田治氏が登壇。同氏は「日本に於ける上半期業績が前年同期比で2割増となるなど、日本社会が新型コロナの感染防止を求めるなかで、オンライン販売という事業特徴が我々の強みとなりました。
またイベントへの出展形態もリアル開催からバーチャル方式へと切り替え、ウェビナー開催を増加させるなど〝リアルからバーチャルへ〟の取り組みを一層強化させています。加えてTwitterを活用したキャンペーン展開も広げて、この半年でフォロワー数を10倍にしました。マクニカとの連携による〝Macnica-Mouser(マクニカ・マウザー)〟も事業成長に貢献した要素のひとつです。
これらの結果、日本国内に於ける顧客数は全年比で7%拡大しました。当社は今後も、最新の半導体及び電子部品を取り揃えて、お客様のリードタイム短縮を支援します。それは単に幅広く電子部品を売る会社という枠を超え〝お客様の貴重な時間を節約し、利便性を提供する会社でありたい〟とする当社の思いが込められています。
これからも〝お客様のニーズを先読みしたマーケティング活動怠りなく続ける〟こと。また〝日本国内でのマーケティング活動の主軸をバーチャルへと転換させていく〟ことを通して事業規模をさらに成長させていくことを目指します」と結んだ。