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2022年11月18日【自動車素材】

テイ・エス・テック、キャビン全体を提案する企業を目指す

松下次男

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自動車用シート・内装品大手のテイ・エス・テックは11月18日、次世代車室内空間を具現化した「XR キャビン(Cabin)」を東京都内で公開した。アルプスアルパインと共同開発したもので、EV(電気自動車)や自動運転時代に向け、2030年代に実用化を目指す。

 

発表会見にはアルプスアルパインも同席。テイ・エス・テックの保田真成社長は自動車が劇的に変わる中、シートやドアトリムなどといった単体の製品から「キャビン全体を提案する企業」へと生まれ変わる狙いで開発したという。

 

このためにはハード面に加え、ソフトウェア領域のテクノロジーが不可欠であり、車載HMI(ヒューマンマシンインターフェース)技術に強みをもつアルプスアルパインと車室内空間の方向性の考えで一致した。

 

アルプスアルパインは電子メーカーのアルプス電気と車載情報通信機器メーカーのアルパインが2019年に経営統合したメーカー。テイ・エス・テックとそのアルプスアルパインは今年1月に業務提携を結ぶ。

 

公開したXR キャビンは自動車シートとVR(仮想現実)技術を融合、リラクゼーションシートのほか、EVに対応した高効率・速暖空調、ゾーン別サラウンドシステム、デザインと機能を融合させたステルススイッチなどを搭載。さらに生体センシングなど乗員の健康チェック機能などを盛り込む。

 

わが国の自動車メーカーや日本に事務所を持つ海外自動車メーカーを対象にした「次世代車室内空間発表会」も実施し、各社から「大変、興味がある」という声が寄せられたという。

 

テイ・エス・テックとアルプスアルパインは次世代車室内空間のコンセプトを数セット開発し、北米や中国の開発拠点に持ち込み、同様の提案を海外の自動車メーカーへも行う方針だ。

 

保田社長はXR キャビンの展開について、「次世代自動車についてはOEM各社で考え方が異なる。このため今回の発表をスタート台に、それぞれのOEMの仕様に合うよう開発を進めていくことなる」とした。また、キャビン全体のほか、個々の要素技術ごとの提案も検討する。

 

一方で、アルプスアルパインは今回のXR キャビンと並んで、計器メーカーの日本精機ともインパネ周りの開発を協業する。

 

このため、アルプスアルパインの木本隆取締役専務執行役員はXR キャビンにヘッドアップディスプレイなどを組み込むなど、話が進めば「3社協業」へと発展の可能性も示唆した。

 

保田社長はともにホンダを主力供給先としていることから「OEMを含めた共同開発」になるとも見方を示す。

 

XR キャビンの実用化を2030年代としたのはEVや自動運転の普及期を前提としたためで、それぞれ要素技術についは早い段階での採用可能性を示唆する。すでにホンダとは一部技術を共同開発していると話す。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。