豊田通商とその100%子会社の豊通物流(豊通物流)は、RFID(Radio Frequency Identification)タグを活用した入出庫・棚卸システムの試験導入を、日本国内で自動車部品物流を行う豊通物流・第2三好センター(愛知県みよし市)にて4月より開始した。
また、海外の各物流拠点との連携を視野に、インドネシアの物流拠点 PT. TOYOTA TSUSHO LOGISTIC CENTERでも、RFID導入プロジェクトを立ち上げた。
今後、グローバル展開における課題や改善点を実作業を通して洗い出し、本格導入に向けた検証を行う。
1. 導入の背景と目的
物流業界では、人手不足や働き手の高齢化や、災害時のBCPの観点から荷物の可視化やグローバルでのサプライチェーンマネジメントが課題となっている。
豊田通商は、自動車メーカーの海外生産拡大と、それに伴う部品メーカーの海外進出を背景に、世界28カ国で事業展開し、部品の最適サプライチェーンを構築、安定供給・在庫管理運営を行っている。
また、グループにおいても働き方改革を推進。業務効率化を目指したIT技術活用を進めている。
一般的に、自動車部品は材質・形状が多岐にわたり、特に金属製品が多いため、電波を利用したRFIDの利用は、電波の乱反射や金属による電波干渉により、その読取精度が低くなるなどの課題があった。
そこで、豊田通商ではRFID導入に際して2年間検証。今回、豊通物流の第2三好センターに、入出庫時のRFIDタグ読取りシステムと、AGV(Automatic Guided Vehicle/無人搬送車)、RFID読取装置が一体となった『棚卸用AGVシステム』を製作・試験導入した。
2. 導入システムの概要
システムでは、倉庫への部品搬入時に各梱包箱にRFIDタグを貼付し、作業工程毎に入庫予定リスト、在庫リスト、出荷予定リストとRFIDタグの読取結果の照合を行うことで、作業の効率化と精度向上を図る。
特に棚卸業務においては、これまで倉庫棚の高い位置に保管されている商品の実査棚卸は、フォークリフトなどで床面に降ろして棚卸を実施、再度、棚に戻すといった作業が必要だったが、『棚卸用AGVシステム』により、高さ6mの倉庫棚にあるタグの自動読み取りも可能に。在庫品を床面に降ろさずに棚卸作業を完了させることができるようになったと云う。
これにより棚卸時間は従来の8分の1に短縮され、実施頻度を増やすことが可能となったと云う。
3. 今後の予定
今後豊田通商は、国内外の物流拠点をつなぎ、サプライチェーン上の自動車部品の在庫数の可視化と、受発注・在庫管理の高度化をすすめる。
またインドネシア物流拠点でのプロジェクト開始を皮切りに、複数の海外物流拠点でRFID導入プロジェクトを立ち上げる予定。グローバル展開における課題や改善点を実作業を通して洗い出し、本格導入に向けた検証を行う。
豊田通商は、サプライチェーン上の物流をリアルタイムで可視化することで、物流の最適化、新たなサービス提供につなげていくとしている。