豊田通商は、高機能液晶調光フィルム(※1)の開発、製造、販売を行う九州ナノテック光学の株式を大分ベンチャーキャピタルから取得し、第三者割当増資を引き受けて、同社に対し35.28%を出資。これに伴い、豊田通商から取締役3名を派遣した。
九州ナノテック光学は、国や大分県からの支援を受け、世界で初となるリバースモードフィルム(※2)の量産化技術をはじめとする、様々な液晶調光フィルムの研究開発を実施。
他社にない機能として、液晶調合から製造に至るまでの研究・開発リソースを保有し、顧客のニーズに合わせた液晶材料の開発および構成材料を選定するなど、クリアな視界の確保や、高温環境下での性能向上を図り、自動車向けにも対応した高機能液晶調光フィルムの開発を進めてきた。
また、経済産業省より平成30年度戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)に認定。今後さらなる機能向上や用途開発を推進することで、自動車、新幹線などの輸送機器、建築用途など、2020年には1,500億円にも拡大すると言われる調光市場への展開を目指している。
[出資の背景と目的]
高機能液晶調光フィルムは、会議室や商業施設など既に様々な場所で使用されている。
また、CASEと呼ばれる自動運転や電動化などの新技術、MaaSといった新たな移動サービスの台頭により、自動車の使い方、車内での過ごし方が変化することで、車内空間に対する考え方も変化していくことが考えられ、自動車への活用も期待できる。
豊田通商では、自動車の活用の変化に伴う需要を鑑み、同社の持つ自動車部品に関するノウハウや量産体制の構築を支援するだけではなく、デジタルサイネージなどのディスプレイ関連分野への応用や、新たな活用方法の開拓を行い、同フィルムの社会実装を目指すとしている。
※1)高機能液晶調光フィルム:液晶を使い通過する光を電気でコントロールし、「透明」と「不透明」を瞬時に切り替えられる厚さ0.1mmのフィルム。優れた遮光機能や赤外線カット・UVカット機能と、映像投影スクリーンとしての機能を併せ持つ。高機能液晶調光フィルムは会議室やショールームウィンドウのガラス建材と併用して活用されたり、プロジェクター用スクリーンとして利用されている。
※2)リバースモードフィルム:従来の高機能液晶調光フィルムと違い、非通電時は透明で、通電時に不透明になるタイプの高機能液晶調光フィルム。
[会社概要]
<九州ナノテック光学>
– 社名:九州ナノテック光学株式会社
– 所在地:大分県速見郡日出町大字藤原2393番地
– 設立:2004年8月
– 代表者:代表取締役 馬場 潤一
– 資本金:1,000万円
– 従業員数:27名(2019年2月1日時点)
– 事業内容:機能性液晶フィルムの研究開発・製造・販売
<豊田通商>
– 社名:豊田通商株式会社
– 所在地:愛知県名古屋市中村区名駅4丁目9番8号
– 設立:1948年7月1日
– 代表者:取締役社長 貸谷 伊知郎
– 資本金:649億3千6百万円
– 従業員数:連結 56,827名(2018年3月末時点)
– 事業内容:各種物品の国内取引、輸出入取引、外国間取引、建設工事請負、各種保険代理業務等