豊田通商は9月12日、中国現地法人の“豊田通商(上海)(以下、豊通上海)”を通じて、リチウムイオン(以下、Li-ion)電池用電解質の製造・販売を行う「湖南福邦新材料(以下、湖南福邦)」に、“日本触媒”と共同で資本参画することに合意したと発表した。
出資金(第三者割当増資)は、日本触媒が約40.4億円(2億176万9912人民元)、豊通上海が5.8億円(2920万3539人民元)(20円/人民元前提)。
昨今の世界的な電動車の普及加速に伴うLi-ion電池の需要の高まりを受けて、低温高温時の性能や寿命などの課題解決が可能な電解質として使用される「電解質リチウム塩(LiFSI:リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)」の需要が急拡大していると云う。
湖南福邦では、世界第2位のリチウムイオン電池電解液メーカー大手「深圳新宙邦科技(英名:Shenzhen CAPCHEM Technology)」の子会社として、このLiFSIを製造・販売。その需要増に応えるため、今年下期から1,200t/年のLiFSIの生産を開始し、今後の段階的な増強で、2025年には生産量12,000t/年を目指していると云う。
豊田通商は今回、子会社の豊通上海を通じて日本触媒と、この湖南福邦の第三者割当増資に応募し、資本参画に合意。今後、同社のグローバルな販売網を生かし、LiFSIの販売を、中国のみならず、日本、アジア、欧州の電解液メーカーへと進めていくとしている。
豊田通商グループは、昨年7月、2030年までに2019年比で温室効果ガス(以下:GHG)排出量50%削減、2050年までにカーボンニュートラルを実現する目標を公表し、同年11月に、「カーボンニュートラルロードマップ2030」を策定。GHG削減に貢献する事業の推進を重要な戦略として位置付けている。
その中で、車載用電池関連ビジネスを次世代に向けた成長の柱として捉え、川上であるLi-ion資源開発事業から川下の電池製造事業、電池リユース・リビルト事業などLi-ion電池サプライチェーン全体でビジネスを展開。グローバルでの販売網を保有することで、カーボンニュートラルへの取り組みを推進し、脱炭素社会への移行に貢献していくとしている。
[会社概要]
<湖南福邦>
– 会社名:湖南福邦新材料有限公司
(Hunan Fluopont New Materials Co., Ltd.)
– 所在地:中華人民共和国 湖南省衡陽市
– 設立:2018年
– 株主:
・Capchem:51.19%
・日本触媒:38.0%
・豊通上海:5.5%
・長沙鑫聯華源新能源合伙企業(湖南福邦幹部社員による持株会):5.31%
– 代表者:周艾平
– 事業概要:リチウムイオン電池用電解質LiFSIの製造・販売
<日本触媒>
– 会社名:株式会社 日本触媒
– 所在地:大阪府大阪市中央区高麗橋4-1-1 興銀ビル
– 設立:1941年
– 代表者:野田和宏
– 資本金:25,038百万円 (2022年3月末)
– 事業概要:
基礎化学品(アクリル酸、酸化エチレンなど)、機能性化学品(高吸水性樹脂、液晶ディスプレイ材料、コンクリート混和剤用ポリマーなど)、環境・触媒関連製品(燃料電池材料、自動車触媒など)の製造・販売。
■深圳新宙邦科技(湖南福邦の親会社)(英語):https://en.capchem.com/