NEXT MOBILITY

MENU

2022年9月12日【企業・経営】

豊田通商、中国の電池用電解質の製造・販売会社へ出資

NEXT MOBILITY編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

 

豊田通商は9月12日、中国現地法人の“豊田通商(上海)(以下、豊通上海)”を通じて、リチウムイオン(以下、Li-ion)電池用電解質の製造・販売を行う「湖南福邦新材料(以下、湖南福邦)」に、“日本触媒”と共同で資本参画することに合意したと発表した。

 

出資金(第三者割当増資)は、日本触媒が約40.4億円(2億176万9912人民元)、豊通上海が5.8億円(2920万3539人民元)(20円/人民元前提)。

昨今の世界的な電動車の普及加速に伴うLi-ion電池の需要の高まりを受けて、低温高温時の性能や寿命などの課題解決が可能な電解質として使用される「電解質リチウム塩(LiFSI:リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)」の需要が急拡大していると云う。

 

湖南福邦では、世界第2位のリチウムイオン電池電解液メーカー大手「深圳新宙邦科技(英名:Shenzhen CAPCHEM Technology)」の子会社として、このLiFSIを製造・販売。その需要増に応えるため、今年下期から1,200t/年のLiFSIの生産を開始し、今後の段階的な増強で、2025年には生産量12,000t/年を目指していると云う。

 

豊田通商は今回、子会社の豊通上海を通じて日本触媒と、この湖南福邦の第三者割当増資に応募し、資本参画に合意。今後、同社のグローバルな販売網を生かし、LiFSIの販売を、中国のみならず、日本、アジア、欧州の電解液メーカーへと進めていくとしている。

 

 

豊田通商グループは、昨年7月、2030年までに2019年比で温室効果ガス(以下:GHG)排出量50%削減、2050年までにカーボンニュートラルを実現する目標を公表し、同年11月に、「カーボンニュートラルロードマップ2030」を策定。GHG削減に貢献する事業の推進を重要な戦略として位置付けている。

 

その中で、車載用電池関連ビジネスを次世代に向けた成長の柱として捉え、川上であるLi-ion資源開発事業から川下の電池製造事業、電池リユース・リビルト事業などLi-ion電池サプライチェーン全体でビジネスを展開。グローバルでの販売網を保有することで、カーボンニュートラルへの取り組みを推進し、脱炭素社会への移行に貢献していくとしている。

 

 

[会社概要]

 

<湖南福邦>
– 会社名:湖南福邦新材料有限公司

(Hunan Fluopont New Materials Co., Ltd.)

– 所在地:中華人民共和国 湖南省衡陽市
– 設立:2018年
– 株主:

・Capchem:51.19%
・日本触媒:38.0%
・豊通上海:5.5%
・長沙鑫聯華源新能源合伙企業(湖南福邦幹部社員による持株会):5.31%

– 代表者:周艾平
– 事業概要:リチウムイオン電池用電解質LiFSIの製造・販売

 

<日本触媒>
– 会社名:株式会社 日本触媒
– 所在地:大阪府大阪市中央区高麗橋4-1-1 興銀ビル
– 設立:1941年
– 代表者:野田和宏
– 資本金:25,038百万円 (2022年3月末)
– 事業概要:

基礎化学品(アクリル酸、酸化エチレンなど)、機能性化学品(高吸水性樹脂、液晶ディスプレイ材料、コンクリート混和剤用ポリマーなど)、環境・触媒関連製品(燃料電池材料、自動車触媒など)の製造・販売。

 

 

■深圳新宙邦科技(湖南福邦の親会社)(英語):https://en.capchem.com/

■日本触媒:https://www.shokubai.co.jp/ja/

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。