トヨタ自動車は、FCVの基幹ユニットとなる燃料電池スタック(FCスタック)と、燃料の水素を貯蔵する高圧水素タンクの生産設備を拡充する。
同社は、燃料電池自動車(FCV)の普及に向け、2020年以降、グローバルで年間3万台以上の販売目標を掲げるが、今回の生産設備の拡充は、現在の年間3,000台レベルからひと桁増の生産レベルに対応するためだと云う。
また、グローバルでのFCV販売拡大のため、海外での販売国・地域を拡大、日本では、現在の4大都市圏中心から販売地域を拡げることを検討するとしている。
[生産設備の拡充]
FCスタック生産設備は、愛知県豊田市の本社工場敷地内に新たな建屋を建設。高圧水素タンクは、愛知県みよし市の下山工場内に専用ラインを新設する。
今回、生産設備を拡充するのは、2020年代からのFCVのラインアップ強化による販売増に加え、2017年2月から東京都に販売を開始した燃料電池バス(FCバス)や、豊田自動織機が2016年秋から販売を開始した燃料電池フォークリフトなど、FCスタック・FCセルや高圧水素タンクの活用が拡がり、供給を十分に支えられる生産能力を備える必要があるためだと云う。
また、新設する設備は、2015年10月公表の「トヨタ環境チャレンジ2050」で掲げた「工場CO2ゼロチャレンジ」に向けた取り組みの一環として、生産段階でのCO2排出量の徹底した削減を目指した設備となる予定。今後、2020年頃からのの稼働開始を目指し、詳細を詰めるとしている。
<生産設備の概要>
[FCVの販売国・地域拡大]
FCV「MIRAI」は、2014年12月に日本で、また2015年秋から米国・欧州で発売。その生産を、2015年に約700台、2016年に約2,000台、そして2017年以降には約3,000台と、年々増加させてきた。
トヨタは、FCV普及のため、2020年代には本格的な普及期にはいることが必要だとし、2020年頃以降には、MIRAI等のFCVやFCバスなどの販売目標を、グローバルで年間3万台以上としている。
現在、MIRAIは、日本・米国・欧州9ケ国、計11ケ国で販売。さらに、オーストラリア・カナダ・中国・アラブ首長国連邦(UAE)で走行実証を行い、FCVの需要性把握や水素ステーション整備促進に向けた取り組みに協力するなど、将来のFCV販売国・地域の拡大に向けた環境整備を進めている。
また日本では、2020年頃以降には、少なくとも月に1,000台レベル、年間1万数千台程度の販売を目指し、販売地域を現在の4大都市圏中心から拡げることを検討。
FCバスについては、東京都に2017年2月に2台、2018年3月に3台販売し、今後、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、100台以上の販売を目指しているとのことだ。