したがってパナソニックは、培ってまいりました強みを活かしながらも、「チャレンジャー」のマインドを持って、電動車の普及に少しでも貢献してまいりたいと思っております。
是非、ご期待いただければと思います。ご清聴ありがとうございました。
以上
今後、伸び代が大きい電気開発に取り組み、電池量産化で圧倒的優に経つ構え
ちなみに現在、パナソニックが米国の電気自動車メーカー「テスラ」に納入している18 × 65ミリの円筒形18650電池は、本来ノートパソコンなど汎用電子製品向けに開発されたもの。
従ってこの電池は、自動車利用のために専用で開発されたものとは異なる。このため、瞬間的な高出力を取り出す機会のある乗用車用としては、正極につながる電気の流れを充分に受け止められるだけの構造ではない。冷却が必要になる理由のひとつはここにある(11月4日から一般書店にては発行した自動車ビジネス雑誌「NEXT MOBILITY」にも関連記事を掲載中)。
今現在は特定の自動車メーカーに対して主流として流通しているが、未来永劫使えるものではないことは、電池関連の技術者であれば、誰もが知る事である。有り体に云ってしまえば、今後の「伸び代」は乏しいのが実情だ。
電池開発でも自前主義を貫くトヨタだが、遂に専業メーカーの手を借りる事に
そもそも両社は、初代プリウスの開発から車載用電池開発に取り組んでおり、当初の丸形・円筒形電池の搭載から、角形形状へと進化。
今はニッケル水素電池に関しては、当初パナソニックの技術移管を受けて、トヨタ自らがトヨタウエイ(自前主義)に則って、自社工場を建設。自らバッテリ生産に乗り出して長らく経っており、ニッケル水素電池に関しては、相応の技術的ノウハウの蓄積を果たしている。
今回は、これを受けて、冷却に課題がある円筒形18650電池ではなく、より運用が容易な角形リチウムイオン電池の開発・量産を進めていく構え。
リチウムイオン電池に付きまとう課題解決も当面の車両量産に欠かせない
なおリチウムイオン電池も課題があり、自動車の耐用年数全域に於いて高い容量を維持できるだけの充放電維持能力に課題がある。
これは日産自動車が永らく販売してきたLEAF(リーフ)で露呈している問題であり、先代リーフは現時点では、バッテリユニットの著しい劣化により、健全な中古車価格を維持することがマーケットで実現できずにいる。
これを踏まえると本来の現状技術では、今のガソリン燃料と同じく、リチウムイオン電池ユニット自体を車両本体と切り離し、リース供給するなどの方策が適していると考えられるが、こうした車両販売・ユニット供給の形を、少なくとも日本の消費者が受け入れられるかは、まだ未知数だ。
現段階では全固形電池の開発は文字通り「海図なき航海」に値する
もちろんこれに併せて、トヨタ自身が実用化を目指すと公言している現段階では「夢」の全固形電池の開発にも両社が関わっていく構えだ。
ただし全固体電池の開発は「イバラの道」というより、豊田章男社長が企業運営で比喩するいわゆる「海図なき航海」に近い状態だ。
その構造は、電解液とセパレータ機能に成り代わり固体電解質がその役割を担うというもの。個体になると現在の液体構造とは異なり、発火の危険性は低くなる事と、液体ゆえの温度変化の耐性に劣ることがなくなることから、理論的には安定電圧の維持という面では有利だ。
ただ固体ゆえに、現行の液体タイプとは異なり、電気抵抗が飛躍的に高まってしまう。この課題が目下、開発過程においての課題となっており、トヨタ社内の開発者にとっても、この抵抗値をとのように突破するかかが鍵のひとつとなっている。
実際には、全固体電池も未来永劫の技術とは云えないかも知れないが、ひとまずこのシステムが完了すれば、電気自動車の普及に際して大きな弾みが付く可能性は大きい。
実は、ニッケル水素・リチウムイオン・全固形、いずれも一長一短がある
また併せて、既存型のリチウムイオン電池やニッケル水素電池の進化もまだまだ目が離せない。トヨタは広く電動車を捉えると、ハイブリッド車両として数百万台単位で、車両量産を続けている世界でも希に見る電動車輩出メーカーであるからだ。
実際、瞬間的な高出力を取り出すという面では、今の所もリチウムイオン電池に歩があるが、細かな電力の出し入れを行う場面や、車両生涯に亘って安定的に電力の取り出しを維持し続けるしいう面では、実はニッケル水素電池の方が安定感が高く、歩がある。
つまり見方を換えると、リチウムイオン電池より、ニッケル水素電池の方が使い勝手で優れるケースもあるのだ。場合によっては、1台の車両にリチウムイオン電池とニッケル水素電池を併用するというやり方すら考えられる。
これが今もトヨタ自身が、自前の工場を建て、一部のプリウスにニッケル水素電池を搭載している大きな理由のひとつである。併せて蓄電池の調達コストも課題だ。欧州でフォルクスワーゲンAGも、この点で苦労をしており、内製できるエンジンとは異なり、外部調達ではスケールメリットが効きにくく、車両1台当たりの損益分岐点は大きく上昇する。
電池技術は日進月歩であり、明日の行方はまだ見通せないが、現在のハイブリッド車と電気自動車、燃料電池車の共存と同じく、当面はニッケル水素電池・リチウムイオン電池・全固形電池の共存が進むのだろう。
またこれに対して、目下、パナソニックが量産している円筒形電池の車両搭載については、長い時間を掛けて徐々に搭載率が下がっていくものと考えられる。