トヨタ自動車は、部品仕入先・輸送会社と協力して全体最適を追求した効率的な輸送の仕組みを新たに構築するため、従来の部品仕入先手配による「お届け物流」から、トヨタ手配による「引き取り物流」に変更、東海地域で来年9月から開始する。
トヨタでは、現在、全国的にドライバー不足が深刻化している物流において、2030年に2015年比でトラックドライバーが26%減少すると試算(*1)。
加えて、CO2排出による環境負荷について、2030年に2013年比でマイナス26%の水準が求められている(*2)ことから、こうした社会的な課題への対応が急務となっているとしている。
また今年、政府と企業が一体となって、ドライバーがより働きやすい環境づくりを目指す「ホワイト物流」推進運動が開始され、トヨタも賛同企業の一員として参画している。
以上のような物流業界の現状を鑑み、トヨタでは、2016年から九州地域で、2018年からは東北地域において、先行して「引き取り物流」を部分的に実施。
関係する部品仕入先や輸送会社の協力を得て様々な改善に取り組んできた結果、ドライバーの働きやすさを高めたうえで、約12%の輸送効率化(*3)と、CO2排出量約6%の削減を実現したと云う。
今回「引き取り物流」に着手する東海地域では、九州・東北地域で実績のある以下のような取り組みを、さらに大規模に実施する。
・荷物積み降ろし場の整備により荷役作業時の「ドライバーの負担低減」「安全性向上」を実現。
・複数の部品メーカーを1台のトラックが効率的に集配して回る「ミルクラン」方式の導入により、「積載率向上」と「総走行距離の削減」を実現。
・トヨタが一括して輸送を手配する「引き取り物流」への変更に伴い、輸送計画立案・オペレーションをトヨタが実施することで、全体最適な輸送体制を構築。
・輸送現場からの要望や困り事の吸い上げを通じ、継続的な改善 及び、ホワイト物流を実現。
トヨタは、これら一連の取り組みを東海地域に展開することに加え、九州・東北地域での対象を更に拡大することで、従来に比べて約8%の輸送効率化や、CO2排出量の約8%削減が期待できるとしている。
また、輸送に関わる人々にとって働きやすい環境づくりと環境負荷の低減を行うことで、モノづくりの根幹を支えている物流を長く安定的に維持する取り組みを進めるとしている。
*1:トヨタ試算。
*2:環境省「日本の約束草案」(平成27年)より。
*3:トラックの積載率を高めることで従来より12%少ないドライバーで高効率な輸送を実現。