豊田自動織機は7月8日、世界的に進展する自動車の電動化を背景にしたカーエアコン用電動コンプレッサーの需要拡大に対応するため、グローバルで1,000万台の生産体制を構築すると発表した。
東浦工場および中国子会社TACK(※1)の加工ライン、刈谷工場の組立ラインで能力増強を行う他、シェルやローターなど、圧縮機能を担う基幹部品を加工する東浦工場に、電動コンプレッサー部品専用の加工ラインを新設し約2倍に拡張、10月から生産を開始する。
電動コンプレッサーの世界市場は、電動車(※2)の普及に伴い急速に伸長しており、21年度1,000万台から23年度2,000万台へと拡大する見通し(※3)であると云う。
これを受けて、豊田自動織機は、コンプレッサーのトップシェア(※4)カンパニーとして、電動コンプレッサーのグローバルシェア50%、販売台数1,000万台を目指すと共に、中期的な市場拡大に対応するため、欧州および米国生産拠点での現地生産など、さらなる生産体制の拡充を検討していく。また、電気自動車(以下BEV)の熱マネジメントにおける中核部品として、電動コンプレッサーの商品力向上にも取り組んでいく。
バッテリーをはじめ多くの電子機器を搭載するBEVに於いて、熱対策は、航続距離や充電時間、電池寿命を左右する重要技術。BEV向けコンプレッサーには、車室内だけでなく電子機器の冷却も担う高い冷房能力が求められる。また、暖房にエンジンの廃熱を利用できないBEVでは、コンプレッサーを駆動させるヒートポンプ式暖房の採用が広がっており、BEV向けコンプレッサーには冷暖房を担う耐久性能が欠かせない。
豊田自動織機の電動コンプレッサーは、その冷房能力と耐久性能が評価され、「ESH34」がトヨタの新型BEV「bZ4X」(今年4月発表)に採用されているほか、より大型なバッテリーや電子機器にも対応した大容量タイプの「ESH41」も市場投入され、海外カーメーカーから高い評価を受けていると云う。
豊田自動織機は、今後さらなる大容量化や高電圧にも耐えられる電動コンプレッサーの開発を進め、顧客の多様なニーズに応えると共に、電動車の普及やカーボンニュートラル社会の実現に貢献していくとしている。
※1:豊田工業電装空調圧縮機(昆山)有限公司。
※2:ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車を指す。
※3:IHSマークイットおよび豊田自動織機調べ。
※4:豊田自動織機調べ。
[東浦工場の概要]
– 所在地:愛知県知多郡東浦町
– 操業開始:2002年
– 工場面積(拡張後):52,000㎡
– 事業内容:カーエアコン用コンプレッサー部品の加工
[ESH41の諸元・特徴]
<諸元>
– 型式:ESH41
– 体格(胴径×全長):φ123×263mm
– 重量:7.2kg
– 吐出容量:41cc
– 冷房能力:10.8kw
<特長>
・従来の車室内を中心とした冷房能力に対し、容量増加と回転数の高速化で40%能力向上。
・構造の見直しにより、既存製品に対し2倍以上の長寿命化。
・当社製品の強みである、小型・軽量・高効率・静粛性をより高め、商品力を維持。
■(2022年7月8日豊田自動織機リリース)【ピックアップ】電気自動車の熱マネジメントを支えるコンプレッサー:https://www.toyota-shokki.co.jp/news/2022/07/08/005400/index.html