豊田自動織機は6月3日、製造工程を評価するための作業姿勢分析システムの開発を発表した。
このシステムは、安全で快適な職場環境の整備をねらいとして、人間が可能な限り自然な動きや状態で使えるように物や環境を設計し、実際のデザインに活かすという「エルゴノミクス」に基づき開発された。
システムでは、ビデオカメラで撮影した作業の映像データから、独自のアルゴリズムによって作業者の作業姿勢を高精度に測定して、身体的負荷を自動で評価する。従来は人手に頼っていた目視による作業姿勢の測定および身体的負荷の評価が自動化されたことにより、評価時間を短縮するとともに、より正確に評価することが可能になるという。
2020年中頃から同社高浜工場を中心に導入を開始し、2021年5月からは国内全工場で作業改善に活用していくとしている。
今回開発した作業姿勢分析システムは、映像内の作業者の中から評価対象者のみを自動で特定し、2次元の骨格を抽出する。さらに、人物の体の向きを考慮して3次元の骨格を推定することで腰や膝の角度を高精度に測定し、身体的負荷のレベルに応じて作業姿勢点を算出。こうして得られた評価結果を分析映像とグラフで可視化することで、身体的負荷の高い作業姿勢と改善すべき点の判別を容易にする。これにより1工程あたりの評価時間を従来方法から約85%低減し、効率化を実現した。
豊田自動織機によると、2021年度の本システム利用件数は約1,200件、評価時間は約1,540時間の低減を見込む。今後は収集した作業映像をデータベース化し、改善事例を全工場で共有することで作業改善を効率化したり、分析データを比較することで作業訓練を効率化するなど、さらに幅広い活用も検討する。