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2024年5月30日【ケミカル】

豊田自動織機、貴金属フリーの水素製造装置用電極開発

NEXT MOBILITY編集部

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豊田自動織機・ロゴ

豊田自動織機は5月30日、車載電池(バイポーラ型ニッケル水素電池)の開発で培った材料技術・分析技術を活用した「アルカリ水電解式水素製造装置向けの電極」を開発したことを発表した。

 

脱炭素社会の実現に向けた次世代エネルギーとして注目を集める水素需要は、年々高まっており、水素を「つくる」「はこぶ」「ためる」「つかう」ためのサプライチェーン構築や、各工程の技術開発が加速。水と電気から水素を「つくる」水素製造装置の市場は、2030年には、2022年比で約130倍(※1)にまで急拡大する見込みであることから、効率的かつ安定した水素製造技術の開発が求められていると云う。

 

このような状況を受けて、豊田自動織機では、複数ある水素製造方法の中でも、ニッケル水素電池の知見を活かせるアルカリ水電解方式に着目し、水素製造のキーデバイスである電極について、独自設計の材料および製造工程の開発を推進。今般、車載電池(バイポーラ型ニッケル水素電池)の開発で培った材料技術・分析技術を活用した「アルカリ水電解式水素製造装置向けの電極」を開発した。

 

この電極は、二ッケルを主成分とする独自設計の材料で構成され、白金やルテニウムなどの貴金属やコバルトが使用されていないため、サプライチェーンリスクの低減に貢献。また、貴金属やコバルトを使用した電極と同等の高い電解効率が実現されていること、その効率を低下することなく維持する高い耐久性を有することも、同社基準による耐久評価試験試験で確認されていると云う。

 

開発品の特徴

(1)サプライチェーンリスクの低減に貢献
白金、ルテニウムやコバルトなど、原産地が特定の地域や国に限られる金属を電極の材料に使用せず、安定供給や価格高騰のリスク低減に貢献。

 

(2)高い電解効率
貴金属やコバルトを使用した電極と同等の電解効率84%(※2)を達成。

 

(3)電解効率を維持する高い耐久性
再エネ電源の供給停滞により、水素製造装置が停止する際に起こる電極材料の化学変化は、電極の「剥がれ」を招き、電解効率の低下につながるが、こうした耐久性の課題に対し、同社では独自の電極構造設計を採用。起動停止耐久1300回(※3)(14年相当)時点および連続耐久1000時間(※4)でも劣化せず、電解効率84%を維持する電極を実現。

 

同社は、この電極について、今後水素製造装置への実装に向けた試作を行い、装置メーカーやシステムメーカー等のニーズに応えられるよう更なる開発を進め、2028年頃の市場投入を目指すとしている。

 

※1:出典:国際エネルギー機関(IEA)。2022年までの累積導入量約1ギガワットから、2030年に約134ギガワットに拡大する見通し。
※2:電流密度600mA/cm2に於ける電解効率。
※3:風力発電の年間停止回数(約90回/年)を前提に算出。
※4:2030年における1000時間あたりのスタック劣化率目標は0.12%(経産省 水素・燃料電池戦略ロードマップより)。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。