豊田自動織機は6月19日、自動車用ACインバーターの累計生産が6月に3,000万台に到達したと発表した。
自動車用ACインバーターは、車載バッテリーの直流電圧を、家庭用交流電圧に変換し、自動車からの電源で家電製品の使用を可能にする車載電源部品。1990年代後半のRV車ブームや携帯電話・パソコンの普及を背景に、車内で家電製品を使いたいというニーズが高まり、豊田自動織機が世界で初めて(※)開発し、1995年に生産を開始した。
現在、出力電力60W~1,500Wのラインアップを取り揃え、世界中に供給しており、ここ数年は、特に北米市場での需要にけん引され、生産台数を伸ばしてきた。
近年では、大容量バッテリーを搭載するHV、PHV、EVなど電動車の普及拡大により、エンジン車には搭載できなかった1,500Wの高出力タイプをラインアップに追加し、その需要も増加。高出力タイプのACインバーターは、車内外で消費電力の大きな給湯器や暖房器具も使用可能となるため、国内では災害発生時の非常用電源としても注目されていると云う。
豊田自動織機では現在、ACインバーターを搭載した自動車を複数台連結し、より高い出力電力を可能にする製品の開発にも着手。大規模避難所における電力の安定供給実現を見込み、今後、自治体と連携した本格的な実証実験も予定している。
豊田自動織機は、長年にわたるバッテリーフォークリフトの開発で培った技術を活用し、自動車用電源システムの技術開発に取り組み、このACインバーターやDC-DCコンバーター、充電器など、数多くの電動車向け製品を製造。今後も、小型・軽量・高効率な製品開発に取り組むとともに、平常時の「利便性」と災害時の「安心感」に資する製品の開発や提案を行っていくとしている。
※豊田自動織機調べ。自動車の生産段階で内蔵するタイプ。
[エレクトロニクス事業部長 大年浩太執行職のコメント]
「ACインバーターは、モバイル機器の普及とともに、多くのお客さまにご使用いただき、節目となる3,000万台を達成することができました。
当社製品をご支持いただいたお客さまをはじめ、関係する全ての方々に改めて感謝申し上げます。現在、ACインバーターは当社の主力製品となり、その他当社の電源製品がトヨタ自動車のプリウスに代表される電動車に、多く採用されております。
車の電子化が進む中、電源は重要なコンポーネントであり、今後もその分野で技術を発展させ、お客さまにより良い製品を届け続けてまいります」。