豊田合成は、車載製品で世界初となる共振式のワイヤレス給電技術(※)を用いた「LED照明付きエアコンレジスター」を開発した。
同製品は、トヨタ自動車傘下のレクサスブランドが11月26日発売したコンパクトクロスオーバーの新型車、「LEXUS UX」に搭載。エアコンの風向や風力を調整するノブに、LEDの照明を点灯することで、夜間の視認性を高めている。
豊田合成では今回、ノブの繰り返し操作によるワイヤハーネス破断などの懸念がある有線での給電に替えて、無線での給電技術を採用。ワイヤレス化によりデザインの自由度も高めた。
加えて、LED照明のレンズ内部を合わせ鏡にし、光の環が立体的に連なって見えるよう演出。トヨタ自動車からこれらの技術が評価され、CE特別賞を受賞した。
[構造と給電原理]
① レジスター外周の送電回路に電流を流す。
② 周りに一定の周波数の磁界が発生。
③ レジスター中央(ノブ本体)の受電回路が共振し、
周りに同じ周波数の磁界が発生。
④ 磁界により、受電回路に電流が生じ、LEDが点灯する。
豊田合成では、ゴム・樹脂の高分子分野を中心とするコア技術を用いた自動車部品に、電子技術を融合させたモジュール製品の開発を推進。今後もワイヤレス給電などの技術を活かした新たな価値を提供するとしている。
※:1つの物体の振動(周波数)が他の物体にも伝播する「共振」の原理を利用したワイヤレス給電技術。送電側と受電側の回路の磁界(周波数)を共振させて電力伝送することで、離れた場所にも送電できるのが特徴。