豊田合成と森林研究・整備機構 (森林総合研究所:茨城県つくば市)は5月21日、日本固有の樹木であるスギの成分を配合したプラスチック素材を共同開発(※1)したと発表した。
脱炭素への取り組みの一環として、プラスチックやゴムに植物由来の原料を配合することで製品の環境負荷低減を進めている豊田合成は、今回、自動車のハンドルなどに使われるウレタンやナイロンといったプラスチックに、スギから抽出した〝改質リグニン〟を配合した「改質リグニン配合プラスチック」を、森林研究・整備機構と共に開発。
改質リグニンは、工業材料として主成分の〝リグニン(※2)〟をスギから化学的に抽出した、耐熱性・加工性に優れた物質で、豊田合成は、同社の材料技術を用いることで、プラスチック製品の石油由来材の一部をこの物質に代替することを可能にしたと云う。
同社では今後、主力製品であるハンドルなどの内外装部品への適用も視野にその開発を推進。改質リグニンの利用進めることで、全国各地で豊富に存在するスギの木材としての付加価値を高めて有効活用すると共に、アレルギー源であるスギ花粉の低減にも貢献していきたいとしている。
なお、同技術は、2024年5月22日から3日間、パシフィコ横浜(横浜市)で開催される「人とくるまのテクノロジー展2024」の豊田合成ブースでも紹介される。
※1:国立研究開発法人である森林総合研究所が代表機関となり、脱炭素社会の実現を推進する「高機能リグニン材料開発コンソーシアム」で共同開発を行っている。
※2:植物の細胞と細胞をつなぎ合わせる接着剤の役割を持つ木の成分。
※3:ハンドル用ウレタンは豊田合成で開発中、ハンドルインサートは天童木工と共同で開発中。