東陽テクニカ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:五味 勝)は6月23日、IMU(慣性計測装置。複数のセンサー素子で構成された加速度と角速度を検出する装置)から得られた加速度データを通して人間と自動車の移動軌跡を算出。この位置関係を特定できる解析技術で先の4月8日に特許を取得した。(坂上 賢治)
同社は1953年の創立以来、一貫して計測機器を取り扱ってきた。その事業領域は、〝情報通信〟〝自動車〟〝エネルギー〟〝EMC(電磁環境両立性)〟〝海洋〟〝ソフトウェア開発〟〝ライフサイエンス〟など多岐に亘っており、今日では5G(第5世代移動通信システム)の普及や自動運転車の開発環境を支えるためのソリューションも提供している。
そんな同社の同解析技術は、人に装着したIMUと自動車に搭載したIMUでそれぞれに計測した加速度データから、個々の変位(移動量)を計算して移動軌跡を求め、その両データのタイムスタンプを同期させることで両者の位置関係を特定するというもの。
より具体的には、歩行者たる人と自動車の位置関係を約5cmの精度によって、2,000 回/秒もの高頻度で検出。この結果、自動運転/ADAS(先進運転支援システム)の開発・研究への応用が期待できる。また位置特定がGPSなどの測位システムに依らないため、建物や樹木などの遮蔽物が多い公道や屋内でも使用することができる。
さらに同解析技術は、他の計測システムのデータを取り込んで同期することもできる。例えばドライバーの視線計測システムと同期することでドライバーの視線が歩行者を捉えたタイミングや、その時の歩行者と自動車の位置を正確に測定することができる。
またペダル操作や操舵など車両の挙動に関するデータと同期することも可能だ。この技術は自動車開発に於ける多くの場面での利用が期待される。同社でも最新の計測機器と同技術とを組み合わせた新しい自動車計測技術を開発し製品化していく構えだという。
なお同解析技術の特長は以下5要素がある。(1)IMU で計測した人と自動車の加速度データのタイムスタンプを同期し、同時刻における両者の位置関係を測定。(2)GPS などの測位システムを用いず、IMU での計測のみから誤差±5cm の精度で位置検出を可能にする独自の計算処理。(3)高頻度(2,000 回/秒)な位置検出が可能。(4)GPS 電波の届かない環境でも位置計測が可能。(5)IMU 以外の測定システムのデータも同期可能。
取得特許の内容は以下の通り。
– 発明の名称 : 解析方法および解析装置
– 特許番号 : 特許第6688930号
– 登録日 : 2020年4月8日