東陽テクニカは11月6日、自動車や車載機器のEMI(電磁障害)測定や EMI適合評価を行うためのエミッション計測ソフトウェア「ES10/VE」を開発、11月9日より販売とサポートを開始すると発表した。
同製品は、EMC(電磁両立性)測定の業界標準「EP9」シリーズの後継となる。
【製品概要】
「ES10/VE」は、東陽テクニカの製品開発を担う社内カンパニー『ワン・テクノロジーズ・カンパニー』が開発した、自動車や車載機器が出す電磁ノイズ(エミッション)を測定するためのエミッション計測ソフトウェア。EMI測定のためのハードウェアであるEMIレシーバーと組み合わせて使用する。「ES10/VE」はキーサイト・テクノロジー社やローデ・シュワルツ社製のものをはじめとした多くのEMIレシーバーに対応しているのが特長となる。
また、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)に搭載されるモーターやバッテリーは高電圧化する傾向にあり、より強い電磁ノイズによる新たなノイズ干渉の可能性があるため、それに対応するために自動車のEMI国際規格である「CISPR 25:2016 Edition4」には、EVやHVに搭載される高電圧電源製品の評価方法「Annex I」が追加された。「ES10/VE」はその「Annex I」に対応する。
さらに、測定した電磁ノイズを従来の周波数軸だけでなく時間軸で評価できる機能と、二つの異なる測定結果の差分を簡単に表示できる新機能を搭載。時間軸での評価では電磁ノイズの発生サイクルを可視化できるため、部品の駆動サイクルと照らし合わせることでノイズ源を簡単に特定することができる。また、差分表示機能は特定した電磁ノイズに対する対策を行う前後の測定結果を容易に比較できるため、ノイズ対策時間の削減に貢献。
【EMI 計測ソフトウェアの製品ラインアップ】
東洋テクニカが30年以上にわたり開発してきたEMI計測ソフトウェアは現在、多くの種類のEMIレシーバーや EMI測定の関連機器(アンテナマスト、ターンテーブルなど)に対応し、業界標準だった「EP」シリーズの後継である「ES10」シリーズと、キーサイト・テクノロジー社の最上位EMIレシーバーである「N9048B PXE」と組み合わせて使用することに特化したハイエンドモデルである「EPX」シリーズ※1 の2つのラインアップがある。
「ES10/VE」は、「ES10」シリーズ※2 の第二弾。これまでシリーズやモデルごとに異なっていたプラットフォーム(基盤となるソフトウェア構造)を統一することで、機能差と、新機能のリリースまでの時間差を縮小する。順次モデルを拡充し、「ES10」と「EPX」の 2 シリーズを展開していく。
※1 放射エミッション測定用「EPX/RE」、伝導エミッション測定用「EPX/CE」および自動車・車載機器向け「EPX/VE」の 3 製品で構成
されるシリーズ。
※2 放射エミッション測定用「ES10/RE」、伝導エミッション測定用「ES10/CE」(今後発売予定)および自動車・車載機器向け「ES10/VE」の3製品で構成されるシリーズ。
【「ES10/VE」の主な特長 】
・これまで「EPX」シリーズのみに搭載していた最新機能を搭載※3
- 『タイム・ドメイン・スキャン機能』を活用し近年増加している複雑な振る舞いのノイズも簡単に特定
- 複数の測定データの比較と分析を容易にする差分表示機能
- UIの向上
- ユーザーの好みに応じて豊富なパターンで画面をカスタマイズ可能
- CISPR 25:2016 Edition4 Annex I(EV/HVに搭載される高電圧電源製品の評価方法)に対応
・ソフトウェアのプラットフォームを上位ソフトウェア「EPX」と統一。
上位シリーズである「EPX」との統合プラットフォーム設計により従来のモデル間、シリーズ間の機能差を縮小も
しくは解消し、「EPX」と「ES10」の両シリーズにおいて少ない時間差で新機能の提供が可能。
・その他
「EP9/VE」のユーザーは、測定条件など保存した設定を引き継いで使用可能※4
※3 『Accelerated Time Domain Scan機能』など「EPX/VE」の一部の機能は「ES10/VE」には搭載されない。
※4 引き継ぎ操作には東陽テクニカエンジニアによるサポートが必要。
【製品データ】
■製品名︓自動車・車載機器向けエミッション計測ソフトウェア「ES10/VE」
■販売開始日︓11月9日
■希望価格︓150万円(税別)~
なお、「ES10/VE」の発売に合わせ、「EP9/VE」の販売を終了。製品サポートは2021年11月末日をもって終了する。