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2018年1月17日【テクノロジー】

東洋ゴム工業、GLMとEV足回りモジュールの共同開発に着手

NEXT MOBILITY編集部

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東洋ゴム工業は、1月17日、EV(電気自動車)メーカーのGLMとEV車両向け足回りモジュール(複合部品)の共同開発に取り組むことに合意し、着手したと発表した。

世界各国で電気モーターを動力源とするEV車両の開発が加速度的に進んでおり、各自動車メーカーからも量産化計画が発表される現在。

 

より静かに走行するEV車両に組み込まれる部品群は、ガソリン車とは異なる条件下で求められる性能を実現していく必要がある。

 

特に、自動車用ゴム部品では、EV車両向けにおいて、より高い次元の静粛性、路面やモーターなどといった振動源から発する振動を制御する減衰性など、従前とは異なる機能や性能が求められいると、同社では考えている。

 

今回、共同開発パートナーとなったGLMは、EVスポーツカー「トミーカイラZZ」の本格的な量産を2015年10月から開始。

 

 

翌年の「パリモーターショー2016」では、次世代EVスーパーカーのコンセプト車両「GLM G4」を発表し、注目を集めた。

 

また、GLMは完成車の開発、販売のほか、車の心臓部にあたるプラットフォーム(※1)やその一部分、ひいては開発ノウハウや自動車関連企業・機関との協力関係(GLMエコシステム)を、自動車メーカー以外に提供する「プラットフォームビジネス」も事業の柱に据えている。

 

※1:車台(フレーム・シャシー・サスペンション他)+パワートレイン(モーター・バッテリー他で構成する車体)

 

 

自動車用タイヤ、エアサスペンションなどの自動車用部品は、振動制御に関係の深い部品であり、自動車の静粛性、快適性、安全性を維持するために重要な役割を担っている。

 

東洋ゴム工業は、今後、未来モビリティを見据えた事業ソース開発の一環として、自動車用タイヤを含め、単一機能製品群を組み合わせた「EV車両向け足回りモジュール」の開発を進めていくとコメント。

 

具体的には、共同で、「フラットライド(※2)を実現するエア式のアクティブサスペンション(※3)」の開発を進めていくとのことだ。

 

また、中期的なビジョンに沿って車載モジュールの開発に乗り出す東洋ゴム工業は、GLMより、アクティブサスペンションや足回り機構、車全体の要素技術といった必要な情報や総合的なノウハウの提供、自動車メーカーとしての知見を活かしたサポートを受けながら、エアサスペンションに電子制御技術を組み込んで応用した次世代型のアクティブサスペンションを共同で開発する計画、2020年中にその製品化をめざす。

 

※2:道路状況に合わせ、自動車の各種緩衝装置を自動制御して揺れや振動を緩和して実現する滑らかな乗り心地
※3:自動車の揺れを電子制御するサスペンション

 

東洋ゴム工業は、本年度より、自動車用タイヤ、自動車用部品といった「モビリティ分野」を中核に据えた経営体として、事業に取り組み始めたと云う。

 

同社がパートナーとなって、GLM社とEV向け製品モジュールを共同開発していけることは、未来モビリティにおける深化と進化の可能性を拡げるに資するものと展望しており、GLM社との協業によってEVが持つ固有の技術課題解決に特化した足回りモジュールのトータル設計やパッケージ化の経験を積むことで、付加価値の高い提案のできるサプライヤーをめざしていくとしている。

 

今回の共同開発着手にあたって両社は、以下のようにコメントを発表している。

 

 

■GLM株式会社 代表取締役社長 小間裕康氏

 

東洋ゴム工業社はエアサスペンションで非常に高い技術力を有しておられます。新製品の開発にも熱心で、優れた開発環境をお持ちなのも、その表れだと認識しています。そうした企業様に開発パートナーになっていただけることで、弊社が掲げるわくわくするものづくりに、魅力的な技術が加わります。共同開発を目指すフラットライドは、静粛性能に優位性がある電動車両において、根幹をなす技術になると考えています。世界の経済成長と共に販売シェアが高まっているプレミアムセグメントの車両においては、標準になりうる技術であり、量産効果によるコストダウンが進めば、路面の整備が進んでいない新興国での一般車両や、人や荷物を乗せる運送用車両でも大きなニーズが見込めると期待しています。

 

■東洋ゴム工業株式会社 常務執行役員 技術統括部門管掌 金井昌之

 

GLM社は、京都大学の電気自動車開発プロジェクトを母体とする新興のEVメーカーで、ゼロベースからEV車両の開発と量産化に成功した実績を持つとともに、多様な企業とパートナーシップを組んで未来のモビリティを追究してやまないフロンティア・スピリットをお持ちです。進取性や独創性といった面で、当社の企業文化にも通じるものを感じています。当社としては、技術ポテンシャルを最大化させ、実績ある各部品のパフォーマンスを新しい次元で統合し、未来モビリティにとって不可欠かつ付加価値の高い足回り部品のモジュール化を実現していきたいと考えています。

 

 

[GLM株式会社 会社概要]

 

会社名:GLM株式会社 (英文表記:GLM Co.,Ltd.)
代表者:代表取締役社長 小間裕康
設立年月:2010年4月
資本金:32億2914万円(資本準備金、資本性ローン含む)
所在地:〒606-8317 京都市左京区吉田本町 京都大学VBL
事業内容:環境対応自動車の開発・販売、それに付随するサービスの開発

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。