東芝デバイス&ストレージの画像認識プロセッサー「Visconti™4(TMPV7608XBG/Viscontiは東芝デバイス&ストレージの商標)」が、中国の自動車部品メーカーである浙江亜太機電股份有限公司(Zhejiang Asia-Pacific Mechanical & Electronic Co. Ltd.、略称:APG社) のADASソリューションに採用されたと8月11日に発表された。(坂上 賢治)
東芝ブランドのVisconti™ファミリーが、海外メーカー向けに量産されるのは今回が初めての事となった。採用に至った経緯は、中国の自動車市場で自動車安全テストに係る自動緊急ブレーキ評価の追加などの安全基準の高まりがある。
実際、同国内マーケットでは高い安全性能が求められるADAS(Advanced Driver Assistance System、先進運転支援システムの略)搭載車の比率が高まりつつある。これに伴い中国の車載カメラ市場は2030年に2019年比で約4倍に増加するとされている(2019年11月5日・矢野経済研究所調べ〝中国のADAS/自動運転用センサ市場に関する調査〟)。今後も急激な拡大していくこは明白になっている。
今回、APG社へ採用された東芝のVisconti™4は、カメラからの入力映像を素早く画像処理し、自車が走行している車線、車両、歩行者、標識、自転車乗員、対向車のヘッドライトなどを認識する画像認識プロセッサーだ。
解析機能自体がソフトウエアではなくハードウェア上で処理されるため、CPUやGPUよりも低消費電力で画像認識を実行することができるところが大きな特徴でこれが採用にあたっての強みとなった。
また併せて今納入デバイスには、東芝デバイス&ストレージが独自に開発した「Enhanced CoHOGアクセラレータ(Enhanced CoHOGアクセラレータで、同社が開発した輝度及び色情報を用いて複合共起特徴量を抽出するアルゴリズムを指す)」が搭載されていることから夜間に於ける歩行者検知性能も強みのひとつとなっている。
なお東芝デバイス&ストレージは「Visconti™」ファミリーを自動車以外の分野へ拡販するべく進めている。現在は多機能画像センサーや監視カメラシステムなどに相次いで採用されており、今後は農機や建機、鉄道などでも採用に向けて検討されるよう進めている。
東芝デバイス&ストレージでも「今後、Visconti™ファミリーをはじめとする付加価値の高い車載半導体製品を、幅広い顧客に提供していきます」と話している。