東芝は9月24日、双日およびブラジルのカンパニア・ブラジレイラ・メタルジア・イ・ミネラソン社(Companhia Brasileira de Metalurgia e Mineracao:CBMM)と、ニオブチタン系酸化物(Niobium Titanium Oxide/以下、NTO)を用いた次世代リチウムイオン電池の商業化に向けた共同開発契約を締結したと発表した。
NTOは、リチウムイオン電池の負極材として一般的に使用される黒鉛と比較して、2倍の理論体積容量密度を持つ材料。
3社は、2018年6月に、NTOを用いたリチウムイオン電池負極材の共同開発契約を締結し、東芝研究開発センターを中心にその開発を進めてきたが、今回その試作セルの開発が完了したため、今後の商業化に向けた量産プロセスの確立および早期の市場投入に向けたさらなる協業を進める。
また今後3社は、主に商用電気自動車用途等に適した高エネルギー密度でかつ急速充電が可能な次世代リチウムイオン電池の2023年度の商業化を目指す。
CBMMは、ラテンアメリカに於ける電気トラックの開発・生産の先駆者であるフォルクスワーゲン・カミニョイス・イ・オニブス(Volkswagen Caminhões e Ônibus/*)と契約し、NTOを用いた次世代リチウムイオン電池の実導入に向けた実証を行う。東芝と双日はこの実証に協力し、フォルクスワーゲン・カミニョイス・イ・オニブスが設計した新型商用電気自動車に搭載されるNTOを用いた次世代リチウムイオン電池の特性および車両運行データの収集を行う予定。
ニオブ(Nb)は、鉄鋼添加剤として主に高張力鋼、ステンレス鋼などの高級鋼材に用いられ、中でも自動車向け鋼材の軽量化・剛性化には不可欠とされる金属元素の一つ。CBMMは、ニオブ市場に於いて世界一位の生産量と販売量を誇り、高い技術力と製品開発プログラムを保有。また、その株主の1社で日本市場向けの総代理店もある双日は、安定的な原料供給体制の構築や用途開拓を進めてきた知見・ノウハウを持つと云う。
東芝は、CBMMと双日からのニオブ材料の安定的な供給体制の確保を今後進め、両社のグローバルな顧客ネットワークも活用しながら、急速に拡大する二次電池市場でのシェア獲得を3社で目指していくとしている。
*フォルクスワーゲン・カミニョイス・イ・オニブス:フォルクスワーゲン・グループの子会社であるTRATONグループの一員。中南米最大級のトラック・バスメーカーであるフォルクスワーゲンとMANの商用車メーカー。
[会社概要]
<東芝>
– 代表者:代表取締役社長 綱川 智
– 設立:1875年7月
– 資本金:2,005億5,800万円(2021年3月31日現在)
– 売上高:3兆544億円(2020年度)
<双日>
– 代表者:代表取締役社長 藤本 昌義
– 設立:2003年4月1日
– 資本金:1,603億3,900万円(2021年6月30日現在)
– 売上高:1兆6,025億円(2020年度)
<CBMM>
– 代表者:Eduardo Ribeiro (エドゥアルド リベイロ)
– 設立:1955年
– 資本金:非公開
– 売上高:非公開