東芝エネルギーシステムズは6月23日、大型モビリティにも適用可能な軽量・高出力密度・高速回転のモビリティ向け超電導モーターを開発したと発表した。大出力の高速超電導モーターの実現は、世界初(※1)。モビリティ業界との連携を進め、2020年代後半の事業化を目指す。
世界的に環境意識が高まる中、モビリティ業界に於いてもCO2などの温室効果ガス削減に向けた動きが加速している。
例えば、航空業界では、2050年にCO2排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)とする目標を掲げ、従来の石油由来ジェット燃料から、持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel/※2)への切り替えが進んでいる。しかし、その達成には、燃料以外にも航空機システム全体の進化が必要とされ、推進系に於いて、軽さと高い出力を両立したモーターの登場が期待されていると云う。
今回、東芝エネルギーシステムズは、原子力発電や火力発電向けの発電機や超電導製品を開発・製造する京浜事業所の技術者を集結させ、長年培ってきた高速回転機の製造技術と超電導技術を用い、一般的な同レベルの出力モーターと比べて10分の1以下の軽量化と小型化を実現した、最高出力2MWの小型高速超電導モーターの試作機を開発。
今後、さらなる軽量化を図り、社会実装への取り組みを加速して航空機の電動化に大きく貢献。東芝グループが持つ製品・サービスと組み合わせることで、モビリティ業界への新たな価値を提供することを考えていると云う。
また、東芝エネルギーシステムズでは、二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)に電気分解する技術を用いたP2C(Power to Chemicals/※3)プロセスにより排ガスなどのCO2をSAFに再利用する、カーボンリサイクル事業も検討。これらを通じて、モビリティ業界に様々なソリューションを提供し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していくとしている。
[超電導モーターの概要]
– 出力:2MW
– 大きさ(mm):外径約φ500×全長約700(シャフト除く)
※1:東芝エネルギーシステムズ調べ(2022年6月23日時点)。
※2:原材料の生産・収集から燃焼までの過程で、CO2の排出量が少ない持続可能な供給源から製造されるジェット燃料。
※3:再エネや再エネ水素を用いてCO2を環境価値の高い有価物に再利用するカーボンリサイクル技術(CCU)のひとつ。CO2の排出削減だけでなく、再エネの普及拡大にも大きく貢献。