東レは、ドイツ・ミュンヘン近郊に「オートモーティブセンター欧州(AMCEU)」を開設し、1月25日、州政府関係者や自動車メーカーなどを招待しオープニングセレモニーを行った。
今後、環境規制で先行する欧州において、東レグループの保有する自動車向け高機能素材、先端技術を活かしたグリーンイノベーション(GR)事業拡大のための技術開発拠点として活動する。
東レでは、4つのコア技術(有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー)をベースにした新素材・新技術を通して地球環境問題や資源エネルギー問題、さらには健康長寿社会の実現など、社会的な課題の解決に貢献する新製品の開発と事業化を推進。
欧州においても9ヵ国21拠点で繊維、樹脂・ケミカル、フィルム、炭素繊維、水処理など様々な分野にわたって事業活動を行っている。
現在、自動車産業は、100年に一度の大変革期とも言われ、環境負荷低減やマルチマテリアル化など技術面をはじめ、自動運転やコネクテッド、シェアリングなどビジネスモデルも含めた大きな変化に伴い、これまでの自動車にはない部材や部品の開発・適用が進められ、素材にもより高い性能や品質が求められている。
東レは、「クルマは素材で進化する」との考えのもと、この要求に応えるべく新素材の開発と共に、これら素材の特性を最大限引き出すための設計技術や成形・加工技術など、ソリューション提案・総合サポートを見据えた開発に取り組んでいくとしている。
その一環として東レでは、2006年にワンストップサービスを事業横断的に推進し、代表窓口として機能する自動車材料戦略推進室を、さらに2008年には技術サイドの窓口であるオートモーティブセンター(AMC/名古屋)に設立。この二つを両輪とし、関係会社と連携することで、総合的なソリューション提案ができる仕組みを構築してきた。
その結果、世界の自動車生産台数の伸びが年率約3%(2014年度~2017年度)の中、東レグループ全体の自動車用途向け売上高の伸びは年率約11%と、世界自動車生産台数の伸び率の約4倍を達成した。
AMCEUでは、欧州の顧客向けに、ソリューション提案活動を行うため、初期設計・構想段階から参画し、同社の先端技術、先端材料を用いた共同開発を推進すると共に、グループ総合力を活かし、解析、成形、加工技術の開発や欧州独自の新たな用途開発にも着手。
東レは、今後も次世代自動車の新たな開発に挑戦し続けることで、来るべき低炭素社会の実現に貢献していくとしている。
[オートモーティブセンター欧州の概要]
– 施設名:Toray Automotive Center Europe(AMCEU)
– 所在地:ドイツ ミュンヘン近郊
– 開所:2018年8月
– 主な機能・設備
延床面積 約3,400m2、2階建
・設計設備、成形・加工設備、評価設備
・ショールーム
・事務所、商談室