図3. 全固体電池の超高速充放電試験の結果
今後は今成果を踏まえ従来の4 V程度の発生電圧から5 Vへ、全固体電池を高出力化する道筋が見えてきている。併せて極めて低い界面抵抗を得ることができるため、さらに超高速充放電が実現したとも云えるだろう。
このような高出力型全固体電池における界面抵抗の低減や高速充放電の実証は、全固体リチウム電池の実用化の鍵であり、実用化を目指す上で、大きな一歩となる。
また今回見出した固体電解質と電極の界面におけるリチウムイオンの自発的な移動は、界面近傍でのイオン輸送についての学理を構築する上でも意義深いものだと云う。今後は詳細な界面構造の解析により、さらなる電池特性の向上につながる界面設計指針の構築が期待されるとした。
最後に同研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)リチウムイオン電池応用・実用化先端技術開発事業、トヨタ自動車株式会社、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST)「超空間制御に基づく高度な特性を有する革新的機能素材等の創製」の支援を受けて行われた。
用語説明
[用語1] エネルギー密度 : 電池から取り出すことのできるエネルギー量の値。単位体積や単位質量などで規格化される。
[用語2] エピタキシャル薄膜 : 基板となる結晶の上に成長させた薄膜で、下地の基板と薄膜の結晶方位が揃っているもの。良好な界面の作製によく用いられる。
[用語3] 超イオン伝導体 : 液体電解質と同等のイオン伝導度を有する固体電解質。リチウムイオンの場合、1 mScm-1程度の値が最高のイオン伝導率とされている。( MOTOR CARS )
論文情報
掲載誌 :
ACS Applied Materials and Interfaces
論文タイトル :
Extremely low resistance of Li3PO4 electrolyte/Li(Ni0.5Mn1.5)O4 electrode interfaces
著者 :
Hideyuki Kawasoko, Susumu Shiraki, Toru Suzuki, Ryota Shimizu, and Taro Hitosugi
DOI :
10.1021/acsami.8b08506 outer