リコーインダストリアルソリューションズ(RINS)は、車載HMI分野に向けて、昨年11月に開発したレーザースキャン方式の車載HUD用プロジェクションユニット(以下、レーザーHUD)の世界初の量産化を図るため、鳥取事業所にレーザーHUDの量産ラインを構築する。
レーザーHUDは、2020年に量産体制を構築し、2021年に出荷を予定。
鳥取事業所の設備投資等の実施にあたり、これを支援する鳥取県および鳥取市と、5月30日に事業拡大に係る協定書の調印を行った。
HUDは、車速やナビゲーションなどの情報をフロントウインドウに投影するもので、ドライバーの視線移動を減らし、運転時の疲労軽減やよそ見による事故リスクの低減に貢献。今後は車両に設置された様々なセンサーとの連携によるドライバーへの高度な注意喚起やAR技術(*1)の実現なども期待されている。
RINSは、そのような高度化するニーズに応えるため、リコーのレーザー描画技術、および車載HUD用途で新たに自社開発した2軸MEMS(*2)スキャナーを用いたレーザーHUDを開発。
レーザースキャン方式は、TFT方式に比べ、高コントラスト(*3)、かつ、広色域の色表現(*4)が可能。同じ輝度でもより明るさを感じやすい特性から、注意喚起やAR表現の阻害要因であるポストカード(*5)の影響を軽減、また運転状況や人間特性を考慮した独自アルゴリズムも活用することで、重要な情報を的確に伝達すると云う。
さらに、リコーインダストリアルソリューションズでは、レーザースキャン方式特有の課題である画質と車載信頼性に対して、マイクロレンズ技術を応用したスクリーン(*6)と、2軸MEMSスキャナーを独自開発することで、高画質・高信頼性(*7)を実現した。
*1)AR(Augmented Reality):拡張現実。
*2)MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):微小電気機械システム(図1)。
*3:10,000:1以上。
*4:NTSC比 約190%(図2)。
*5:TFT方式のHUDで、主に低照度環境時に見える、画面形状を反映したバックライトの漏れ光。
*6:スクリーン(図3)。
*8:信頼性達成レベル AEC-Q101相当。