三井不動産は10月8日、東京大学大学院新領域創成科学研究科 藤本・清水研究室(以下「東京大学」)と、電気自動車(EV)への走行中ワイヤレス給電の実用化に向けた研究プロジェクトを開始し、屋外ロボット開発検証拠点であるKOIL MOBILITY FIELDにて走行中給電の実証実験に成功したと発表した。
KOIL MOBILITY FIELDは、公・民・学の連携で街づくりを推進している柏の葉スマートシティ「イノベーションキャンパス地区」内の135街区において、三井不動産が2021年6月15日にオープンした首都圏最大級の屋外ロボット開発検証拠点。走行中ワイヤレス給電の実証実験は民間の開発フィールドでは初の取組となり、東京大学は三井不動産と連携し、走行中給電の早期実用化を目指すとしている。
また東京大学は、電気自動車(EV)への走行中ワイヤレス給電の実用化に向けた国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業の研究プロジェクト「電気自動車への走行中直接給電が拓く未来社会」を推進している。三井不動産は2021年10月より協力研究機関から共同研究機関となり、さらに連携を強化する。
このプロジェクトは、二酸化炭素(CO2)の排出を抑制する「低炭素社会」を構築するための、全く新しい概念や科学に基づいた革新的な技術を創出することを目的として、東京大学藤本博志教授らの研究グループが提案し、JSTが「地球規模課題である低炭素社会の実現」領域の研究テーマとして2017年10月に探索研究として採択したもの。2021年6月には本格研究に移行し、日本初の公道での走行中給電の実証実験を目指し、研究を推進している。
日本のCO2排出量(11億800万トン)のうち、自動車からの排出量は16%(1億7千728万トン)にのぼり、欧州では自動車に関わるCO2排出量をさらに厳しく制限する規制が今後予定されている。その動向を踏まえて世界中の自動車メーカーが車両の電動化(EV化)の開発・普及を推進しているが、近い将来にバッテリーの供給不足が懸念されている。プロジェクトでは、走行・停車中に路面から給電することでより少ないバッテリー搭載量でEVの航続距離を確保可能にする技術開発を行っている。これにより、バッテリーの供給不足の懸念を払拭すると共にEVの軽量化が可能となり、バッテリー製造及び走行によって排出されるCO2の大幅な削減が可能となるとしている。