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2018年7月30日【経済・社会】

帝人フロンティア、自動車向け内装材の独ジーグラー社を買収

NEXT MOBILITY編集部

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帝人フロンティアは、7月30日、欧州を中心に自動車向け内装材の生産・販売を展開するJ.H. Ziegler(ジーグラー社)の全株式を取得し、完全子会社化することを発表した。なお、買収金額は、約125百万ユーロとなる。

 

これにより、同社は欧州における自動車向け内装材の生産および販売拠点を取得し、欧州をはじめとする同事業のグローバル展開を加速、企業価値の向上を目指すとしている。

帝人・ロゴ

[背景]

 

帝人フロンティアは、2017年4月に帝人の産業用ポリエステル繊維事業を統合し、衣料用繊維と産業資材の両分野で事業を展開。

 

産業資材分野では自動車関連領域を中核事業の1つとして掲げ、高機能内装材(シートファブリック、天井材、吸音材など)やゴム補強材(タイヤコード、ホース用コード、伝動ベルト用コードなど)、エアバッグ用基布など、様々な製品、ソリューションを市場に提供している。

 

自動車業界では、近年、環境規制の強化によるEV化や自動運転技術、カーシェアリングの進展などによる大きな環境変化が現れており、快適性や静音性を追求した車内空間に対するニーズが益々高まっている。

 

同社はこうした変化を大きなビジネスチャンスと捉え、特に音を制御して快適空間を生み出す制音機能(吸音、遮音、静音)をコアとした製品の開発・生産・販売により制音事業の拡大を図っていると云う。

 

一方、1864年創立の不織布メーカーであるジーグラー社は、長年、不織布を用いた自動車向け吸音材を製造・販売。欧州・中国を中心に広く事業展開している。

 

また、保有する生産・加工技術を活かし、カーシートの表皮材とクッション構造体との緩衝材であるシートワディング材で、本革シートの課題であったシワの発生抑制による表皮材の高級感維持、高い機能性を持つベンチレーションシートなどを実現するソリューションを提供している。

 

こうした中、高機能内装材の事業拡大に向けて、欧州における生産・販売体制の構築を目指す帝人フロンティアと、今後成長が予想される自動車吸音材市場に向けて、さらなるグローバル展開を図るジーグラー社のニーズが合致し、このたびの買収に至ったとのことだ。

 

[今後の展開]

 

帝人フロンティアは、今回のジーグラー社買収により、欧州、北米、アジアにおける生産・販売拠点を取得し、今後、自動車事業のグローバル展開を加速。買収による期待効果として主に以下の3点を挙げている。

 

①ジーグラー社は、多層構造体を製造する不織布コンポジットメーカーとして、顧客のニーズに応じ最適な多層構造を設計できるデザイン力を有している。EV化などにより発生音の性質が変化する中、同社の技術力・デザイン力により新規吸音材の提案を進めるとともに、制音技術を活かして他用途への拡大も図っていく。

 

②帝人フロンティアが有する原糸・原綿からの研究開発・生産機能を活用して、超極細繊維を用いた吸音効果の高い新たな吸音材の開発を進め、他との差別化を図る。

 

③帝人グループ全体としては、複合成形材料事業の米州拠点であるContinental Structural Plastics社の生産・販売体制、ジーグラー社の販売チャネルを活用し、車輛内外装関連の新たなビジネスを展開するなど、シナジーを追求していく。

[ジーグラー社について]

 

ジーグラー社は、長年培ってきた不織布の生産・加工技術を応用し、優れた静音性能を有する吸音材製品を市場投入し、欧州で高いシェアを有する欧州自動車市場におけるシートワディング材メーカー。欧州に4ヵ所の工場を有し、2014年には中国・浙江省に工場を新設し、グローバル展開を加速している。

 

<ジーグラー社概要>

 

名称:J.H. Ziegler GmbH
所在地:

本社:バーデン=ヴュルテンベルク州 オーベルアハーン
生産拠点:ドイツ3拠点、ハンガリー、中国

代表者:CEO:Diedrich von Behr
事業内容:

不織布をベースとした自動車向け吸音材コンポジット、多層シートワディング材の開発・製造・販売

売上高:69.0百万ユーロ(2017年12月期)
設立:1864年
従業員数:約400名
生産品目:

吸音材コンポジット、カーシート用ワディング材、家具用不織布・建材用断熱材 他

 

[買収の概要]

 

買収金額:約125百万ユーロ
実施時期:2018年8月(予定)
出資元:帝人フロンティア株式会社
資金調達:手元資金および新規調達で充当(予定)

 

 

■J.H. Ziegler(英語):https://www.ziegler.eu/en/home/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。