帝人は6月10日、次世代自動車の内装や車載機器の高品質化に対応するため、ポリカーボネート樹脂「パンライト」のシートおよびフィルムの新しい生産ラインを、愛媛県の松山事業所内に立ち上げ、17日より生産を開始すると発表した。
100年に1度の変革期とされる自動車業界では、自動車の自動運転化や電動化に伴い、車を移動手段としてだけではなく、快適な時間を過ごす空間とするため、内装のデザイン性の向上や車載機器の高品質化が進んでいる。
そうした中、電気自動車などの次世代自動車では、光を透過して必要な時に情報を表示するタッチパネルや、フロントガラスに映像を投影するヘッドアップディスプレイといった光学機器の採用が増加。
年々高まる内装デザインの多様性や投影する映像の美しさの向上につながる高品質な製品へのニーズの高まりに伴い、それらに用いられる耐衝撃性や透明性に優れたポリカーボネート樹脂のシートやフィルムの需要も増えてきていると云う。
帝人では、ポリカーボネート樹脂からシート・フィルムまでの一貫生産をしており、熱劣化の少ない高品質な製品の生産も可能。既に、ポリカーボネート樹脂「パンライト」のシート・フィルム、「パンライト」とアクリル樹脂の複層シート・フィルムを光学機器向けに展開しているが、今回、市場からの高品質化のニーズに応えるため、新たな生産ラインを、愛媛県の松山事業所内に立ち上げた。
この生産ラインでは、従来品よりも平滑性や表面硬度に優れた厚み100ミクロンから500ミクロンのシートおよびフィルムの製造が可能。
それら製品は、特にシートやフィルムの製造工程で生じる微細な歪みなどを抑えた平滑性の高さに於いて、業界最高水準(自社調べ)を誇ると共に、加工が容易で複雑な形状にも対応可能であることから、光学機器のデザイン性の向上や投影する映像の高画質化に貢献すると云う。
帝人は、自動車業界にと留まらず、近年需要が急拡大するVR/AR といった最先端の電気・電子機器などにも提案を進めることで、新設した生産ラインで製造したシートおよびフィルムに於いて、2027年度に年間25億円の売上を目指すとしている。
[新生産ラインの概要]
– 場所:松山事業所内(愛媛県松山市)
– 生産製品:「パンライト」シート・フィルム(単層・複層)
– 生産能力:年産1,350トン