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2019年3月4日【自動車素材】

帝人、高耐熱・高耐衝撃プリプレグを開発。炭素繊維中間材料を強化

NEXT MOBILITY編集部

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帝人は、航空機のエンジン関連部材をはじめ、高い耐熱性および耐衝撃性が必要とされる航空・宇宙用途向けに、日本国内で初めて、両性能を兼備したビスマレイミド(BMI)系プリプレグ(炭素繊維シートに樹脂を染み込ませたもの)を開発した。

 

このプリプレグは、3月12日からパリで開催される世界最大のコンポジット展示会「JECワールド 2019」で、初展示する(出展ブース:hall 6, G28 & J28)。

帝人・ロゴ

プリプレグは、炭素繊維複合材料(CFRP)の中間材料として使用されるもので、航空機や自動車、インフラ、レジャーなど、多岐用途での採用が拡大。

 

CFRPには、一般的に軽量で高強度のエポキシ系樹脂が使用されるが、用途により求められる特性が大きく異なるため、炭素繊維と樹脂の組み合わせや成形方法などに関する技術開発が進められていると云う。

 

中でも、航空・宇宙用途のエンジン周りの部品など、超高温下で使用される用途には、熱による劣化や変形を防ぐため、耐熱性に優れ、かつ線膨張係数の小さいBMI系などの樹脂を使用したプリプレグが用いられている。

 

しかし、BMI系樹脂は、一般的に耐熱性を向上させることにより耐衝撃性が低下し、非常に脆くなるため、衝撃を受けた際に発生する炭素繊維層と樹脂層の剥離やクラック(亀裂)などCFRPの損傷が問題に、また、BMI系樹脂は流動性が高いため、成形が困難な場合があると云う。

 

こうした中、BMI系樹脂を用いながら、耐熱性と耐衝撃性が高次元でバランスし、取り扱いが容易なプリプレグの開発が求められていた。

 

今回、帝人が開発したプリプレグは、BMI系樹脂を使用しながら、これまで培ってきた技術をもとに樹脂組成を適正化することにより、ガラス転移温度(*1)が280℃以上、衝撃後圧縮強度(*2)が220MPa以上と、これまで世界的に難しいとされてきた高次元での耐熱性と耐衝撃性の両立を実現。

 

また、線膨張係数が小さいため、低温・高温のいずれの状態においても優れた寸法安定性を維持・発揮。

 

さらに、樹脂粘度を調整することによりレジンフロー(成形工程での加圧によりプリプレグ中の樹脂が流れ出す現象)を適度に制御し、BMI系樹脂を使用した従来のプリプレグに比べて成形性を向上させるとともに、硬化処理に要する成形時間の短縮にも成功したと云う。

 

 

*1ガラス転移温度(Tg) 高分子物質を加熱した際に、ガラス状の硬い状態からゴム状の柔らかな状態に変化する温度。

*2衝撃後圧縮強度(CAI) 衝撃を受け損傷した材料が持ちこたえることができる最大圧縮応力。

 

 

帝人では、未来の最新鋭航空機に求められる技術として、炭素繊維原糸から織物基材、熱可塑性樹脂を使用した中間材料などの用途開発やラインナップの拡充、ならびにこれらを活用した市場展開を推進。

 

今回開発した熱硬化性プリプレグを加え、さらには本年2月に買収を発表した、航空機向け耐熱複合材料事業を展開する米国レネゲード社のノウハウを活用し、航空機のエンジン部品など、高温下で使用される用途に向けたグローバル展開を加速し、今後、2030年近傍までに航空機用途で年間900百万米ドル超の売上を目指すとしている。

 

 

[問い合わせ先]

 

帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部
電話:03-3506-4055

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。