帝人は、このたび、上海恩捷新材料科技股份有限公司(以下「上海エナジー社」)との間で、リチウムイオン二次電池(LiB)に使用される溶剤系コーティングセパレータの製造に関する包括的な技術ライセンス契約を締結したと、12月22日発表した。
1.背景
(1)世界的な環境規制強化を背景に、電気自動車(EV)の普及が加速しており、安全で長距離走行に耐え得るLiBの需要が急速に拡大。
(2)こうした中、帝人は2019年11月に、世界トップクラスの基材生産能力とコスト競争力を持つ上海エナジー社との間で、車載用LiBに使用されるフッ素系化合物による溶剤系コーティングセパレータの製造に関する技術ライセンス契約を締結。
(3)この契約を基に、帝人のコーティング技術と、上海エナジー社の基材生産能力およびコスト競争力とを融合して生産するセパレータは、顧客から高い評価を得ており、市場ニーズの高さが確認されている。
(4)こうした状況を受けて帝人は、上海エナジー社とのライセンス契約をより充実させ、対象用途を広げることでさらに幅広い需要に応えられると考え、このたびの契約締結に至ったもの。
2.契約内容について
(1)このたびの契約で対象となるのは、フッ素系化合物のコーティングセパレータに、アラミドのコーティングセパレータを加えた、帝人保有の溶剤系セパレータ関連の特許。
(2)耐熱性に優れるアラミドのコーティングセパレータを対象として追加することで、より安全性に優れるセパレータを実現可能とする。
(3)このたびの契約で対象となる用途は、従来の車載用に加え、スマートフォン、タブレット、モバイルパソコンなどの電子機器用や、電力貯蔵システム用など。
(4)また、このたびのライセンス契約とともに締結した開発受託契約により、帝人は、上海エナジー社からコーティングセパレータに関する開発業務の一部を受託し、さらに高容量で安全性に優れるLiBの実現に向けてセパレータを開発していくことになる。
3.今後の展開
(1)帝人は、このたびの契約締結を足掛かりに、EV、電子機器、電力貯蔵システムなどの用途に求められるLiBの実現に向けてセパレータの開発を積み重ね、市場におけるプレゼンスの向上を目指す。
(2)また、顧客が上海エナジー社に求める機能性や安全性を満たすべくコーティング技術を提供し続けることにより、溶剤系コーティングセパレータの市場においてシェア向上を図っていく。
(3)帝人はこのたびの契約締結を契機として、安全性に優れるセパレータの実現に向けてコーティング技術の開発と普及を進め、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」を目指していくとしている。