CF-RTM成形設備を新設したイナパル・プラスティコ社パルメラ工場
Inapal Plasticos SA(以下「イナパル・プラスティコ社」)は12月2日、生産性、外観性、寸法・品質安定性に優れるCF-RTM(*1)の成形設備を新設したことを発表した。イナパル・プラスティコ社は、帝人グループで軽量複合材料部品の生産・販売を手がけている。
(*1)CF-RTM:Carbon Fiber Resin Transfer Molding の略。金型の中に炭素繊維シートを配置 した後に樹脂を注入し、加熱により硬化させる成形方法。
帝人グループでは、環境負荷低減に向けた自動車メーカーからの要求特性に対応するため、軽量・高強度で生産性に優れるCF-RTMによる成形技術の開発に取り組んできたが、 これまで蓄積してきた炭素繊維に関する知見や、2017年に買収した北米最大の自動車向け複合材料部品メーカーであるContinental Structural Plastics Holdings Corporation(CSP社)の技術などを融合することにより、今回のCF-RTM成形設備の新設に至ったという。
今回、イナパル・プラスティコ社に新設したCF-RTM成形設備は、帝人グループが有する炭素繊維、CAE解析、流体解析、プリフォーム(*2)、金型設計などに関する技術 を駆使することにより、製造工程の完全自動化を実現した。
この設備により、部品の要求性能に応じて厚みを調整することができ、かつ炭素繊維を 50%以上含有する高強度な成形品の製造が可能となる。また、射出時間が20秒と短いため生産効率も向上し、さらに、このプロセスによる成形品は、従来のアルミ製部品を約30%軽量化できることから環境負荷低減にも貢献する。
そして、こうした特長により、自動車業界で「クラスA」と称される美麗な外観を有する外板部品や、優れた剛性が求められるホワイトボディなど、主要構造部材の成形が 可能であることが評価され、既に欧米の自動車メーカーでの採用が確定している。また、今後はリサイクルされた炭素繊維材料を使用し、3分間で量産に向けた成形を実現すべく開発を強化していくとしている。
(*2)プリフォーム:炭素繊維シートなどを金型(部品形状)に合わせ、予め賦形すること。
■設備新設の概要
– イナパル・プラスティコ社の事業内容:自動車向け複合材料/部品の設計・成形・加工
– 設備新設拠点:ポルトガル セトゥーバル県 パルメラ
– 設備内容:圧縮プレス機、RTM射出成形機、接合装置
– 設備投資額:約6.8億円(約550万ユーロ)
– 設備稼働時期:2020年12月