豊田通商は1月19日、使用済みの車載用電池のさらなるリサイクル技術の確立を目的に、グループ会社である豊田ケミカルエンジニアリング (以下、TCE)とトヨタ自動車が、共同プロジェクトとして、「燃やさない電池リサイクル」処理パイロットラインの稼働を開始したと発表した。
世界的な自動車電動化の潮流に伴い、米国や欧州などその普及が一足先に進んでいる海外では、使用済み車載用リチウムイオン電池(LiB)のリサイクルが進展。例えばEUでは、電池材料にリサイクル材を一定量使用することが義務付けられるなど、自動車メーカーに対する規制が進んでいると云う。
一方、日本では、一般的にリサイクル困難物として廃棄物処理されることが多く、リサイクル技術が未確立の状況に。これまでトヨタと共同でハイブリッド車のニッケル水素電池のリサイクルを進めてきたTCEは、この状況を鑑み、サーキュラーエコノミーの実現のためには、今後予想される大量廃棄に備え、希少資源の循環を可能にするリサイクル技術の確立が必要であるとして、今回、車載用LiBのリサイクルに向けた取り組みである「燃やさない電池リサイクル」処理のパイロットラインの稼働を、トヨタとの共同プロジェクトとして開始した。
このパイロットラインでは、使用済みの車載用LiBから選別されたブラックマス(電池のリサイクル原料となるレアメタルを多く含んだ粉末)の高効率な回収技術や燃やさない処理方式によるCO2排出量低減に取り組んでいくほか、将来的には、同技術を用い、トヨタ車に搭載される車載用LiBリサイクルをグローバルに展開していくことを目指すと云う。
TCEは、今回のパイロットライン稼働に、同社の50年に亘る産業廃棄物処理や電池リサイクルの実績とノウハウを投入し、車載用電池のさらなるリサイクル技術を確立することで、サーキュラーエコノミーおよびカーボンニュートラル実現に貢献していきたいとしている。