写真1 土量計測状況
大成建設は11月19日、泥土圧シールド工事における掘削土量自動計測システム「ドーリースキャナ」を開発したと発表した。
シールド工事では、周辺地盤に与える影響を最小限に抑えるため、施工時における掘削土砂の管理が重要となる。特に、掘削土量の計測は最も重要な項目であり、土質や工事規模などの条件を加味し、ポンプ圧送、連続ベルコン、ズリ鋼車などを用いた土砂運搬手段から適切な方法を選択しており、それぞれの手段に応じた計測方法が採用されている。
このうち、ズリ鋼車を用いて土砂を運搬する際の土量は、これまでズリ鋼車を立坑から搬出する前に作業員がズリ鋼車の天端から土砂までの高さを複数個所メジャーにより計測してきた。そのため、計測に手間がかかり、また計測結果をその場で記入して作業終了後に事務所で再入力しなければならず、計測業務の効率化につながる高精度でリアルタイムな管理手法が求められていた。
そこで同社は、レーザー光を照射して対象物までの距離や形状を計測できる2D-LiDARセンサを用いて、ズリ鋼車を走行させながら積載された掘削土砂の状況を検知し、掘削土量を高精度で効率的に算出する計測システム「ドーリースキャナ」を開発した。(図1参照)
図1 ドーリースキャナ概要
また、システムは現場実証において、ズリ鋼車が空の状態での容積算出と既知土量を積載した場合の計測結果に基づき基準データを設定し、土量補正の演算方法などの改善を行うことで、計測誤差±1%を実現。また、ズリ鋼車の走行速度に関わらず計測可能であることも併せて確認した。
これらの現場実証結果を踏まえ、2020年から関西地区でのシールド工事に本格導入され、掘削土量を高精度に管理し、施工管理の効率化を実現している。(写真1、図2参照)
図2 土量計測 モニタ表示
■特徴
1掘削土量の計測精度を向上
掘削土量を細かく補正できる演算方法などの採用により、ズリ鋼車の走行速度に関係なく、走行させたまま土量を高精度(計測誤差±1%未満)に計測できる。
2リアルタイムな掘削管理が可能
掘削土量の情報は、工事事務所、監視室、シールドマシン運転室の各モニタにリアルタイムに表示される。
3計測業務の効率化を実現
従来の作業員による土量計測が不要となり、土量の自動計測と同時に結果を記録するため、計測作業の省人化を図り、業務の効率化を実現できる。
4他工種への適用が可能
特別な装備を追加することなく、海洋土木工事で用いる土砂運搬船に積載した土量計測などにも適用が可能で、高い汎用性を有している。