スズキは6月3日、国土交通省からの〝型式指定申請に於ける不正行為の有無に係る実態調査指示〟を受けて、調査を行った結果、過去(2014年)の不正事案が1件発見されたことを公表した。
同社では、2016年の燃費・排出ガス試験にかかる不正行為の発覚以降、不正を発生させない社内の仕組みを作り実行すると共に、社長による職場対話を含む様々な対策や、品質優先、風通しの良い組織の醸成、法令順守に対する意識を高く保ち続ける活動「リメンバー5.18活動」を継続していることから、現在ではこのような不正は起きないと考えているとコメント。引き続きコンプライアンス強化に全社で努めていくとしている。
1.不正事案の内容
(1)車名および型式・型式指定番号・通称名・型式指定年月日
スズキ HBD-HA36V・17956・アルト・2014年11月12日
・量産/販売開始:2014年12月
・量産/販売終了:2017年12月
・累計生産/販売台数:26,023台/25,999台
(2)不正事案の詳細
2014年9月のアルト(貨物仕様)(ABS無)の型式申請の際に提出した「トラック及びバスの制動装置の試験記録及び成績(TRIAS 12-J010-01-付表)」に於いて、フェード試験(※)の停止距離を、実際の試験で測定した停止距離より短く記載していた。
※ブレーキをくり返しかけてブレーキが高温となった状態での停止距離を測定する試験。
(3)原因
社内認証試験に於いて、ブレーキの踏力が規定値を大きく下回る弱い力だったことで、停止距離が法規要件に対して余裕が無い結果が出たが、試験成績書の提出期限に対し再試験を行う時間がなかったため、試験に関与した者がブレーキを規定値近くまで踏み込んだ場合を想定した停止距離に書き換えても問題ないと考え、意図的に書き換えたものと推測。
なお、現在は社内認証試験に設計開発部門から独立した組織である法規認証部門が立ち合った上で、試験結果と成績書の確認を行うプロセスを踏み、不正を発生させない仕組みとしている。
2.性能確認再試験による検証結果
(1)2024年5月18日に法規認証部門の立ち合いの下、当該試験をやり直した結果、フェード試験の法規要件を十分に満たすことが確認された。
(2)他型式への影響について
2014年以降のすべての開発機種の試験結果と成績書を照合し確認した結果、同様な不正があったのは当該アルト貨物仕様のみであることが確認された。