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2022年9月13日【ソフトウェア】

スズキ、「ブランクロボット」の豪アプライドEVへ出資

坂上 賢治

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アプライドEVは2015年に立ち上げられたスタートアップ企業

 

スズキは9月12日、次世代モビリティ用ソフトウェアの開発強化に向けて、アプライド・エレクトロニックビークルズ・リミテッド( Applied Electric Vehicles Ltd /本社:オーストラリア ビクトリア州、CEO:ジュリアン・ブロードベント/Julian Broadbent、以下、アプライドEV/Applied EV )に出資した。( 坂上 賢治 )

 

具体的な出資額については非公表。スズキは昨年9月にアプライドEVと基本合意書を締結。以降、両社間で協業の可能性を探ってきたと言う。スズキは今回の出資を通じて今後、両社の関係を更に強化し、次世代モビリティ用ソフトウェア関連技術の共同開発を推し進める他、様々な事業上のシナジーを追求していく考えだ。

 

 

このアプライドEVは2015年に立ち上げられたスタートアップ企業だ。電動化や自動運転などでのソフトウエア開発技術に強みを持つ。

 

 

デジタル・バックボーン技術が全ての基礎にブランク・ロボットを発表

 

例えば、車両の制御と電装機能に係る部品の組み込みの複雑さを回避するべく、ソフトウエア主導で車両機能を統合制御するシステム「デジタル・バックボーン( Digital Backbone )」を開発した事では、自動車産業界ではよく知られている。従って日本の帝人を筆頭に素材メーカーや完成車メーカーなど、他社との連携の形も様々かつ多彩だ。

 

最も特徴的な保有技術は〝レベル4(特定の走行環境に限って完全自動化を実現する)〟や〝レベル5(搭乗者が運転に関与せず、走行システムが全ての環境下を担う完全自動化)〟などの自動運転を実現させるハードウエアとシステムソフトウエアの統合に於いて、先のデジタル・バックボーン技術が全ての基礎になっている所にある。

 

これを強みに同社は2021年の2月2日、同構想を更に一歩推し進め、自動運転車への対応も可能な多目的プラットフォーム環境「ブランク・ロボット( Blanc Robot )」を発表した。

 

 

アプライドEVの様々な用途に転用可能な技術がスズキの心を射止めた

 

このブランク・ロボットは、走行機能だけでなく、センシング、コネクテッドなどの最先端技術をコンパクトにまとめ上げた多目的プラットフォームになっている。

 

ブランク・ロボットのトップカバーには、コンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス( CSP社 )の軽量・高強度・高剛性なグラスファイバーシートモールディングコンパウンド( GF-SMC )を用いて同社・既存のアルミ製トップカバーに比べ約20%の軽量化に成功した。

 

このGF-SMCは、金属では成形出来ない複雑な形状を短時間で一体成形出来るだけでなく、機密性を高めるのも容易なため、自動運転車には欠かせないバッテリーやモーター、ブレーキ、走行を管理する電子制御ユニットなどの機能部品を水や熱から保護出来る。

 

また用途に合わせた車体を搭載して自動走行させる事も可能なため、食料品や荷物などの配送用途から、工業輸送などの産業部門や、医療・一般交通など、様々な用途に転用可能だ。

 

これらを踏まえスズキでは「今後も、様々な分野で特徴のある技術を持つ企業との関係を構築し、次世代モビリティに必要な技術開発を加速させ、人と社会に必要とされる多様なモビリティを提供してまいります」と話している。

 

Applied Electric Vehicles Ltdの概要は以下の通り
本社:オーストラリア ビクトリア州メルボルン市
事業概要:モビリティ分野のソフトウェアの開発・提供
代表者(CEO):Julian Broadbent
創立:2015年
Webサイト:https://www.appliedev.com/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。