住友ゴム工業は12月17日、暖冬の影響で冬用タイヤの開発期間が年々短くなっていることから、気象変化に左右されない安定したタイヤ開発を行うべく、冬用タイヤ開発拠点である〝名寄タイヤテストコース〟(北海道名寄市)内の屋内氷上試験施設「NICE(Nayoro indoor ICE field)」に冷却装置を導入したことを発表した。
これにより、従来2ヵ月(1月~2月)だったメインの開発期間を4ヵ月(12月~3月)に延ばすことが可能に。また、国連規定で定められた氷上性能の基準をクリアしたタイヤを表す「アイスグリップシンボル」の-5℃~-15℃の路面温度(※)での開発試験への対応もできるようになると云う。
同社は、国内に総合的な機能を有する岡山タイヤテストコースと、冬用タイヤの開発を行う名寄および旭川タイヤテストコースを有しているが、今後は、NICEで天候に左右されない高精度な開発試験を実施することで、冬用タイヤのさらなる高性能化と開発のスピードアップを図るとしている。
※ISO 19447:2021による規定。
「NICE」の外観(写真上)と、施設内での冷却装置工事の様子(写真下)。
またこれに伴い、名寄テストコースでは、12月15日、関係者を招いて竣工式を開催。出席した北海道名寄市の加藤剛士市長からは、「今回の竣工を契機に、さらに素晴らしいタイヤが世界に発信されて、ますます住友ゴムグループ様が発展されることを心からご祈念申し上げる」との言葉が寄せられたと云う。
また、同社取締役常務執行役員の村岡清繁氏からは、「この名寄の地から、社員一丸となり、もっとお客様に感動していただける世界一のタイヤをお届けしたい」と、今後の抱負が述べられた。
テープカットを行う北海道名寄市の加藤市長(左から2番目)と、住友ゴムの村岡取締役常務執行役員(左から3番目)。
住友ゴムは、名寄タイヤテストコースでの冬シーズンの凍結路や圧雪路に於けるタイヤ性能の試験・解析を通して、これからも数多くの優れた商品を送り出していくとしている。
[名寄タイヤテストコースの概要]
– 所在地:北海道名寄市字智恵文1996-1
– 開設:1991年
– 敷地面積:87万㎡
<NICE概要>
– 試験開始時期:2021年1月
– 建屋面積:3000㎡
– 保有設備:制動試験路(全長100m)、旋回試験路(30m×30m)
– 用途:屋内での氷上実車試験。
名寄タイヤテストコースの全景。