住友ゴムは7月30日、加古川工場での防舷材検査および南アフリカ子会社でのタイヤ生産において、品質管理に係る不正が判明したと発表した。
両事案の発覚後、住友ゴムでは、直ちに安全性について検証し、安全性に問題ないことを確認。また、これら事案の発生を重く受け止め、原因を究明すると共に品質管理体制強化や、徹底した体質改善・意識改革を行い、再発防止と信頼回復に努めていくとしている。
1. 防舷材における検査不正
(1)対象製品
– 対象製品:港湾岸壁用のゴム防舷材(*1)の一部
– 生産拠点:住友ゴム工業(株) 加古川工場(兵庫県加古川市)
*1:船舶や港湾の岸壁の破損を防止するため、接岸する船舶にかかる衝撃を吸収して緩和するエネルギー吸収材。住友ゴムの加古川工場で製造し、商社や建設会社を経由して、公共、民間に納品。
(2)内容
6月実施の品質総点検の結果、製造・販売する防舷材一部製品において、船舶接岸時に起きる防舷材の圧縮状態を再現して圧縮性能を確認する試験を、国際航路協会の定めた試験方法等のガイドラインとは異なる方法で実施、またデータを改竄していたことが発覚した。
出荷量は2016年5月以降で500物件(5,389基)を確認。現在は、それ以前についても遡って調査中。
(3)安全性の検証
不適合の製品が設置された港湾の側、及び接岸する船舶の側が、それぞれ破損する可能性について、実際の使用環境下において想定される船舶の接岸速度を用いて自社で検証した結果、安全性に問題がある事例は確認されなかったが、引き続き、外部機関での安全性検証を行う予定。なお、過去に防舷材の性能不足により港湾や船舶が破損した事例は、確認されていない。
(4)今後の対応方針
発覚後の6月16日、同件に係る緊急対策委員会(委員長:代表取締役社長 山本悟)を設置し、出荷済み製品の安全性を確認すると共に、早期に問題解決を図るべく対応。今後は、外部弁護士を加えた特別調査委員会による社内調査を実施し、原因究明を行った上で、再発防止策を策定する。
2. 南アフリカ子会社でのタイヤ生産
(1)対象製品
– 対象製品:新車装着用タイヤの一部
– 生産拠点:Sumitomo Rubber South Africa (Pty) Limited(南アフリカ共和国クワズール・ナタール州)
(2)内容
2017年8月から今年5月まで出荷していた南アフリカ製新車向けのタイヤ約40万本(車両8万台相当)の一部で、顧客との取り決めに基づいて定めた仕様とは異なる製品を出荷していた。なお、当該タイヤ装着車両の日本向け出荷はない。
① ユニフォミティ(タイヤの寸法(真円度)や、重量・剛性等の均一性)の検査規格値。
② 一部製品のビード部(タイヤをホイールに組み付けるときの、タイヤ側接触部分)形状。
(3)安全性の検証
公的試験(法規で定められた試験方法)を用いて社内検証した結果、法規適合性(リム外れ抗力試験:FMVSS139)は満たしており、これまでに出荷した当該製品の安全性に問題ないことを確認。
(4)今後の対応方針
発覚後の6月3日、同件に係る緊急対策委員会(委員長:代表取締役社長 山本悟)を設置し、早期に問題解決を図るべく対応。また、外部弁護士を加えた特別調査委員会による社内調査を開始し、原因究明を行ったうえで、再発防止策を策定する。